著者:モンチ(投資歴25年・運用資産2億円/インデックス×社債で完全FIRE)
お盆で実家に顔を出した方も多いのではないでしょうか。お仏壇に手を合わせながら、ふと「この家、誰も住まなくなったらどうなるんだろう」と、重い現実が頭をよぎった人もいるかもしれません。
実は今、私自身がまさにその「実家じまい」の真っ最中なのですが、現実はそう甘くありません。FIREを機に築50年の実家を売りに出したものの、大手不動産会社に任せているにもかかわらず、半年経って問い合わせはたったの1件。正直、停滞感でいっぱいです。つい先日も、3か月ごとの媒介契約更新を促す電話が不動産会社からかかってきたばかりです。
50代でFIREを達成し、資産運用では「守り」を徹底してきた私ですが、不動産の出口戦略だけは、机上の空論では太刀打ちできない生々しい世界でした。今回は、そんな私の半年間のリアルな停滞状況と、そこから見えてきた「持ち家vs賃貸」論争そのものへの結論をお話しします。
【実体験】実家が売れない!大手不動産会社でも半年で問い合わせ1件のリアル
まず前提として、「大手不動産会社に頼めば安心」というのは、少なくとも地方・郊外の物件においては幻想だと痛感しています。
FIREを機に引っ越しをして実家が遠くなり、空き家のメンテナンスもだんだん負担になってきたため、思い切って売ることを決意しました。築50年の木造住宅なので、買い手がついた時点で解体し、更地として引き渡す条件をつけて、2026年2月から大手不動産会社に依頼しています。
しかし、半年経った今、問い合わせは「リフォームして賃貸に出したい」という方からのたった1件のみ。しかし、現物確認した後に見送るとの連絡がありました。
そんな折、持ち家を売却した地元の友人に会う機会があり、愚痴をこぼしたところ、こんな言葉が返ってきました。
「あー、その大手不動産で頼んだら全然ダメだったよ。うちも全然売れなくて、地元の不動産屋に変えたらすぐに売れたよ。」
この言葉に「なるほど」を思わされました。大手だから広く売ってくれるとは限らないのです。その地域に根を張った業者のほうが、本当に買いたい人とのパイプを持っている。どうやら私も、業者を見直す時期が来ているようです。
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空き家900万戸のデータと、駅近でも売れない現実
半年売れない実感を持って改めて調べてみると、空き家問題は決して田舎だけの話ではなく、都市部のすぐ隣まで迫っていることがわかります。
総務省が発表した「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家数は900万戸に達し、過去最多を更新しました。総住宅数に占める空き家率も13.8%と、こちらも過去最高です。実に、住宅の7軒に1軒近くが空き家という計算になります。
※参考:総務省|令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果
「うちは都市部へのアクセスが良い駅近のベッドタウンだから大丈夫」と思っている方もいるかもしれません。しかし、現実は残酷で、本当の中心地以外は、すでに実需が消失しつつあるようです。
今、私が暮らしているのは、都会でもない郊外(いわゆるトカイナカ)です。大きなビルもそこそこあるし、ショッピングモールや大病院もあり、そこそこ栄えてはいます。しかし、少し歩いて古い町並みのエリアに行くと、シャッターが閉まったままの家や、草が生い茂った空き家が普通に点在しています。
また、私が会社員時代に目にした光景ですが、当時、私は大阪の中心地である難波駅のすぐ近くに勤めていました。駅前はご存知の通り、外国人観光客であふれかえる大繁華街です。しかし、そこからたった15分歩いて住居エリアに入ると、普通に空き家が目立っていました。
大都市のターミナル駅から徒歩圏内ですら、買い手や借り手がつかない家が存在するのです。
本当の中心地でない限り、もうニーズ自体が薄れてきているのかもしれません。実家がある「そこそこ便利なベッドタウン」というポジションは、思っていたより安全地帯ではなかったのだと、今回のことで痛感しています。
「持ち家vs賃貸」の損得論争は無意味。家は「夢を叶える消費」
こうした空き家問題の現実や、大手不動産会社でも半年間買い手を見つけられないという自分自身の実体験を踏まえると、ネット上で定期的にバズるある論争が、いかに虚しいものかがわかります。
それが、「持ち家 vs 賃貸、どっちがお得?」という論争です。
結論から言います。この損得論争は完全に無意味です。
家を買うことは投資(資産形成)ではありません。「夢を叶えるための費用(消費)」と考えるのが一番です。
50年前、両親がこの家を買った時、まさか更地にしても手残りがわずかしか残らないような「負動産」になるとは、想像もしていなかったはずです。
「でも、賃貸だと老後家を借りられなくなるんじゃない?」という不安の声もよく聞きます。また逆のパターンとして、「持ち家だったが、ローンを組んだ後に会社が倒産して払えなくなる」といった極端な話もあります。しかし、私はこの手の煽りニュースは基本的に無視していいと思っています。きちんと計画すればローンを組んで持ち家を買うこともできますし、賃貸だって、よほどの人気物件でなければURや市営住宅といったセーフティネットが存在します。
私自身、幸いにも資金的な余裕はあったため、新たに家を買うか、賃貸のまま引っ越すかという選択肢がありました。それでも、将来の重荷になるのが嫌で、あえて賃貸を選び続けています。これは「損得」で選んだのではなく、「身軽でいたい」という自分の価値観、つまり「消費」としての選択です。
逆に、「庭でDIYがしたい」「大型犬と暮らしたい」といった明確な夢があるなら、家を買うのは大正解だと思います。それは投資ではなく、幸せな人生のための立派な「消費」だからです。
結局のところ、家を買うのは「夢を叶えるための費用」と考えるのが一番しっくりきます。ほしいと思えば持ち家を選べばいいし、ほしくなければ賃貸でいい。それだけの話だと思います。
さいごに
半年間、大手不動産会社に実家の売却を任せてわかったのは、想像以上に「売れない現実」でした。そして、その停滞の中で改めて実感したのは、「住まいとは投資ではなく消費である」という結論です。
今回お伝えしたポイントをまとめます。
- 大手不動産会社に任せても、地方・郊外の物件は簡単には売れない。地元の不動産屋への切り替えも視野に入れる時期かもしれません。
- 総務省の調査でも、全国の空き家は900万戸で過去最多。都市部の徒歩圏内でも空き家は他人事ではありません。
- 「持ち家vs賃貸」の損得論争に正解はなく、家は「夢を叶えるための消費」と捉えるのが一番しっくりきます。
お盆で親族が集まるこのタイミングだからこそ、世間の煽りニュースに惑わされず、一度フラットに「実家の将来」や「自分たちの終の棲家」について、損得抜きで話し合ってみてはいかがでしょうか。



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