昨日は、一日中、実家に戻っていました。
実家に戻っていた理由は、実家の売却の準備です。
今は空き家ですが、以前は倉庫のようになっていました。昨年末に片付けを始め、最後はプロの業者に頼んで家財道具をすべて処分しました。
資産2億円を築き、昨年FIRE(早期リタイア)を達成した私ですが、今回の査定額には絶句しました。
ネット記事で定期的に出てくる、
「持ち家 VS 賃貸 どっちがお得?」
「賃貸で家賃を払うなら、同じお金でマイホームを買ったほうがいい?」
「家賃は掛け捨て、持ち家は資産」
そんな論議の出口戦略を体験してきました。
ネット記事では、決して語られない「50年後の出口のリアル」を、実際の売却相談という生々しい数字をもとにお伝えします。読み終わる頃には、「家は資産になる」という神話の裏側と、投資家の目線で住まいを選ぶ判断軸を記事にします。
築50年実家の売却査定:駅近でも「手残り200万円」になる現実
郊外の持ち家は、時が経てば「現金化にコストがかかる箱」になり果てる。これは感情論ではなく、冷徹な数字の現実です。
私の実家の条件は、決して悪くはありません。
- 場所: 兵庫県の県庁所在地、神戸市の中心部まで電車で約1時間のベッドタウン
- 立地: 最寄り駅から徒歩5分ぐらい
- 築年数: 約50年(木造2階建て)
「駅近だし、それなりの需要はある」と期待したくなります。しかし、プロから突きつけられた現実的な手残りの計算は以下の通りでした。
解体費用と仲介手数料:家を手放す際にかかるコスト
- 更地としての売却するなら: 約600万円(これで売れでも御の字)
※その場合、解体費用は約200万円が別途発生。 - リフォーム前提の戸建てで売却するなら:約300万円(様子見で値下げも考える)
それ以外に、仲介手数料などの諸経費で約50万円が必要です。
残るお金 = 200~300万円
「えっ、200~300万残るならいいじゃない」と思われるかもしれません。でも、これはあくまで「順調に600万で買い手がつけば」の話。不動産屋さんはこう付け加えました。
「正直、このエリアで今すぐこの価格で買う人は少ない。もっと値を下げるか、最悪、捨て値になる可能性もあります」
実家の家具の片付けにすでに50万円ぐらいかかってますし、これまでの維持費を考えると、最終的な手残りが100万円ぐらいになる可能性も十分にある。
50年後の「戸建て」のゴールがこんな感じです。
インフレ調整で判明…50年で「資産価値3,000万円」が消滅していた
昔、両親から聞いた話では、この家を50年前に約1,500万円で買ったそうです。
ちょっとネットで調べてみると、当時の大卒初任給は約9万円、そして今の初任給が約22万円。比較すると約2.4倍の物価感です。つまり、当時の1,500万円は現在の価値で言えば3,000万〜4,000万円クラスの買い物だったということになります。
それを買ってローンを払い、その50年間の間に、大規模な修繕(壁や屋根の塗装、中の設備入れ替え)を2回ぐらいやっています。それでも50年後には、ほぼ無価値。下手したら売れない可能性もある。
お金の面だけで見れば、この「家を買う」という投資で得られる利益は、目も当てられないほどボロボロです。
不動産投資の最大リスク「流動性の低さ」と売却のストレス
今回の実家の売却相談で最も辛かったのは、数字そのものではなく「本当に買い手が見つかるのか?」という不安でした。
株式や投資信託なら、売ると決めたその日に市場価格で数日以内に現金化できます。
しかし不動産は、
・売り出してから買い手がつくまで、数ヶ月〜年単位
・相場価格で買ってもらえるとは限らない
・条件が悪いと「買い手ゼロ」という状況もあり得る
不動産会社の「このエリアだと、すぐに買い手がつくとは……正直、言いにくいです」という言葉。これは「600万円の土地」ではなく、「いつ現金化できるか分からない600万円かもしれない宝くじ」を持っているようなものです。
売れるのを待つ間も税金などはかかり続け、投資のチャンスを逃し続けることになります。FIRE後のように「入ってくるお金」を重視する生活では、この「売りたくても売れない状況」は致命的なリスクです。
持ち家vs賃貸の結論:投資ではなく「豊かな消費」として判断せよ
ここまで厳しい現実をお話ししましたが、持ち家を全否定するつもりはありません。ぶっちゃけ、賃貸か持ち家かの損得論争に正解ないとは思います。
住宅ローンに、固定資産税、修繕費、そして今回のような解体費……。これらを全て足せば、結局は一生分の家賃と大差ないと思います。
だからこそ、持ち家を選択するならば「経済合理性以外の明確な理由」での判断が必要になります。
「Need(必要)」か「Want(欲求)」か?
- Need: 子どもを転校させたくない、介護のために実家の隣に住む必要がある。
- Want: 庭で思う存分DIYをしたい、大型犬と暮らしたい、壁をぶち抜いてシアタールームを作りたい。
こうした人生の満足度を上げる「消費」としての理由があるなら、家を買うのは大正解だと思います。なぜなら、それは投資ではなく「幸せな人生のための経費」と考えることができるため。
最もやってはいかないことは、「なんとなく家賃がもったいないから」という消去法的な理由で、出口の戦略も立てずに35年ローンという縛りを始めてしまうことです。
まとめ:50年先を見通せる人なんて、詐欺師ぐらいなもの
今回の経験で、伝えたいことは3つです。
- 郊外の築古物件は、駅近でも売却時に「資産価値」がほとんど残らない現実がある。
- 持ち家の最大の弱点は「流動性の低さ」。
- 「損か得か」で家を買うのは危険。明確な「暮らしの理想」がある時だけ購入しよう。
よく、ネットではよく「持ち家と賃貸、どっちがお得か?」という記事を見かけますが、ぶっちゃけ全部無視していいと思います。
私の実家も、私が社会人になる前の30年前までは、街がどんどん発展して、新しい店や家が建ち並ぶエリアでした。
当時の住人で、今の「高齢化し、若者がいなくなった」街の姿を予想できた人はいなかったと思います。
50年後の街の姿なんて、誰にも見通せません。
「50年後もこの土地は資産として残ります」なんて断言できるのは、詐欺師ぐらいなものです。
「家を買う」という決断は、お金の損得問題ではなく、「ライフスタイルの購入」です。
その家に住むことで、あなたの人生がどれだけ豊かになるか。その一点だけで決めるべきです。「資産になるはず」という淡い期待で35年ローンという大きな賭けに出るのは、あまりにリスクが高すぎると改めて実感しました。



コメント
申し訳ないけど神戸の中心地まで電車で1時間てかなり辺鄙な立地じゃないでしょうか?
築50年だとリフオームしても家売れる可能性はほぼ無いと思います。
更地渡しで土地として売るなら可能性あるのかなあ、周辺の状況が判らないので何とも言えないけど。
花とおじさん、コメントありがとうございます!
その「神戸で電車1時間は辺鄙」という鋭い感覚……もしかして、関西の地理にお詳しい方でしょうか?(笑)
おっしゃる通り、関東の感覚だと「1時間=通勤圏」ですが、神戸エリアで1時間となると「ちょっとした旅」ですよね。
図星を突かれて、思わず「その通りだなぁ」と苦笑いしてしまいました。
アドバイス通り「更地渡し」で、なんとか出口を探ってみます。
冷静な視点でのコメント、ありがとうございます!
初めまして。
とても参考になりました。
モンチさんのご実家ですが、宜しければ路線価図でどれくらいの評価倍率だったのか
教えていただけないでしょうか。
私の実家は土地が1.1倍 家屋が1.0倍。借地権割合は50%で郊外の認識です。
父が亡くなり、母へ相続登記をした時に路線価図の存在を知りました。
いつかくる実家じまい。できる準備はしていきたいと考えています。
コメントありがとうございます。
「いつかくる実家じまい」への備え本当に大切ですよね、私は実家の荷物の整理に苦労しました。
我が家のケースですが、参考までに数字を共有しますと
土地の倍率が1.1倍、家屋が1.0倍、借地権割合は40%でした。
固定資産税の評価額は土地が350万円ほどです。
実は昨日、売買の委任契約のために不動産屋さんに行ってきました。
その際に、より詳細に売買計画を相談してきたのですが、担当者の方いわく、
「家屋そのものの価値は0円、むしろ解体費用(200万円ぐらいかかる)を考えるとマイナス」とのこと。
ただ、駅近の南東角地なので、更地にして引き渡す形にすれば、評価額の倍近い700万円で売れる可能性がある、
というお話でした。
少しでも参考になれば幸いです。
路線価図の評価倍率の件
参考にします。感謝です。
私の実家とほぼ同じ評価倍率なので、売却する時は厳しくなりそうですね。
車が主な移動手段で不便な場所なので、覚悟はしています。
日本は更に人口減と過疎化が進んでいきます。
今は近辺にスーパーや薬局があっても、これから先は
どうなるかわからない。
実家に居をうつすか否かも含め、後悔の無い選択をしたいと思います。
教えていただき、ありがとうございました。
ご丁寧に返信いただきありがとうございます。
大した情報ではないですが、何かの役に立つのであればうれしいかぎりです!