著者:モンチ(投資歴25年・運用資産2億円/インデックス×社債で完全FIRE)
最近、5年国債の金利が2%を超えたというニュースをよく目にします。 1年半前に1%前後の個人向け国債を買った方は、「あの時買わずに待てばよかった…」「今売ったらペナルティで損をするのかな?」とモヤモヤしている方もいると思います。
結論から言うと、私は1年半前に買った1%の国債をすべて解約し、今月の2.24%の国債に乗り換えました。実はこれ、ペナルティを払っても圧倒的にお得になる、まさに個人向け国債の「バグ技」とも言える強みなのです。
投資歴25年、FIRE達成後は債券を中心とした「守りの運用」をしている私が、実際の証券口座の画面を公開しながら、その理由と計算根拠を詳しく解説します。
個人向け国債の乗り換えは損?1年半前の5年固定を「即中途換金」した理由
今月発行の第186回個人向け利付国債(固定・5年)の利率が、なんと年2.240%に達しました。
一方、私が約1年半前(2025年3月・4月)に購入した第168回・169回は、それぞれ1.03%と0.95%でした。

当時、私はFIRE生活における債券投資の割合を増やしており、国債や社債を幅広く買い集めていました。5年国債の金利が1%を超えたことは、投資家の間でも大きな話題になっていたのです。「もう少し上がる余地はあるかもしれないが、そろそろ上限だろう」というのが、当時の私の率直な読みでした。
でも、その予想は良い意味で外れました。
そして、今回2.24%まで上がったのを見て、迷わず中途換金して乗り換えることにしました。金利が想定以上に上がり、ペナルティを考慮しても乗り換えたほうがリターンが大きいと判断したからです。
▼関連記事
FIRE後の守りの資産として、なぜ私が国債や社債を幅広く買っているのかは、以下の過去記事で解説しています。


金利上昇局面で「10年変動」ではなく「5年固定」を選ぶ理由
「金利が上がっている局面なら、10年の変動金利の方が得なのでは?」と思う方もいるでしょう。一般の方なら、その考えで正解だと思います。
ですが、私は債券として9,000万円ほどを確保し、5年間で一巡する「ラダー戦略」を組み立てている最中です(平均して毎月150万円ずつ償還を迎えるように調整中)。10年の変動を組み込むとこのサイクルが崩れてしまい、私には使いにくい。だから今回もあえて5年固定を選びました。
▼関連記事
私が実践している「5年間で一巡する債券ラダー戦略」の具体的な仕組みについては、こちらの記事で解説しています。
中途換金しても元本割れしない!個人向け国債だけの「バグ技」
さて、ここで「途中で売却(中途換金)するなんて、ペナルティで大損するのでは?」と不安に思う方もいるでしょう。 確かに、一般の利付国債であれば、債券の原則として「金利が上がると古い債券の価格は下がる」ため、途中で売ると元本割れして大損する可能性があります。
しかし、なぜなら、個人向け国債には「元本保証」という非常に有利な特長があるからです。 中途換金時に引かれるのは「直近1年分の利子」のみで、元本自体は無傷のまま戻ってきます。
正確には、中途換金時に差し引かれるペナルティ(中途換金調整額)は、 「直前2回分の各利子(税引前)相当額 × 0.79685」 と定められています。
言葉にすると難しく聞こえますが、要するに「過去約1年分の利息を国にお返しする」だけで済むということです。元本そのものが減額されるわけではないため、非常に安全設計な商品なのです。
これは一般の利付国債では使えない技であり、まさに個人向け国債ならではのバグ技と言えます。
「そんなフリーランチみたいな上手い話があるの?」と思われるかもしれませんが、これは国が個人の資産形成を後押しするために用意した、投資家に絶対的に有利な制度なのです。
※中途換金の詳細な仕組みについては、財務省の公式ページも参考にしてください。
⇒ 財務省:個人向け国債
【実録】中途換金ペナルティのリアルな金額を公開
では実際に、私の証券口座で何が起きたのか公開します。第168回(1.030%・額面100万円)を売却した際の明細がこちらです。

- 過去1年でもらった利子:8,210円
- 受取経過利子(前回の利払いから売却日までの期間分):4,176円
- 経過利子を含む売却金額:995,970円
「あれ、995,970円って元本割れしてるじゃないか」と思いますよね。でも、過去1年分の利子8,210円はすでに口座に入金済みなんです。
つまり、トータルで見ると
995,970円(今回の売却金、受取経過利子を含む)+8,210円(受取済みの利子)=1,004,180円。
100万円の元本に対して、ペナルティとして1年分の利子を没収されても、トータルでは受取経過利子分の+4,180円のプラスになっていることがわかります。
ペナルティを払っても元本割れは一切していないことを、改めて確認できました。
【シミュレーション】ペナルティを払って乗り換えた方が「圧倒的にお得」な理由
元本割れしないことは分かりましたが、乗り換えることでどれくらいお得になるのでしょうか。 残り3.5年間持ち続ける場合と、今売却して新しい5年国債(2.240%)に乗り換えた場合とで、どちらがお得になるのか計算してみました。
100万円投資した場合の受取利息(税引後)の比較表がこちらです。
| 現在の国債(1.03%)のまま | 新しい国債(2.24%)に乗り換え | |
|---|---|---|
| 年間の受取利息 | 約8,210円 | 約17,849円 |
| 残り3.5年間の合計 | 約28,735円 | 約62,471円 |
表をご覧いただければ一目瞭然です。年間の受取利息の差は、約9,639円。
これが残り3.5年間(乗り換えなければ残っていたはずの期間)積み上がると、旧国債のまま持ち続けた場合の受取利息は約2.8万円、新しい国債に乗り換えた場合は約6.2万円となり、なんと2倍以上の差になります。
ペナルティとして1年分の利子(約8,210円)を返上したことを考慮しても、
差額33,736円 − ペナルティ8,210円 = 実質25,526円のプラス
となり乗り換えた方が圧倒的にプラスになるわけです。
「でも、乗り換えたらそこからまた5年間、資金が拘束されるのでは?」と心配されるかもしれません。
おっしゃる通りです。ただし、前述の「ラダー戦略」で毎月・毎年少しずつ満期が来るように設計しているため、多少の調整は必要になるものの、私にとって資金拘束のリスクはある程度解消されています。
【注意点】こんな人は乗り換えない方がいいかも?
ここまで乗り換えのメリットを強調してきましたが、すべての人に当てはまるわけではありません。
以下のような場合は、そのまま持ち続けた方がお得になるケースもあります。
- 満期(償還)まで残り期間がわずか(目安として1年未満)の方
- 乗り換えの手間(売却と再購入の操作)が面倒だと感じる方
- 新たな5年間の資金拘束リスクを避けたい方
ご自身の国債が「あと何年残っているか」によって損益分岐点が変わります。財務省の公式サイトには便利な「中途換金シミュレーション」もありますので、ぜひ一度ご自身の目で確かめてみてください。
まとめ:個人向け国債は金利上昇時の見直しが鉄則!
今回のポイントをまとめます。
- 個人向け国債は、金利上昇時に「1年経過」していれば乗り換えをシミュレーションするべき。
- 一般の方なら10年変動がおすすめだが、ラダー構築などの目的があるなら5年固定の乗り換えも非常に有効。
- 個人向け国債の「元本保証の中途換金」は、投資家にとって最強のバグ技。
- 「ペナルティ」という言葉のイメージに踊らされず、実際の計算式で論理的に判断することが大切。
皆さんの証券口座にも、金利の低い時期に買った個人向け国債が眠っていませんか? ぜひこの機会に、現在の金利と比較して乗り換えのシミュレーションをしてみてください。
PS
皆さんは最近の金利上昇を受けて、債券の乗り換えや見直しをされていますか? よろしければ、ぜひコメント欄で皆さんの戦略や考えを教えてくださいね!




コメント
私も個人向け国債の乗り換えを検討してます(^^)
私の場合は満期の違いの評価もしたくて、最近の個人向け国債3年と5年のイールドカーブから満期の違いを補正してます。
今だと5年と3年の利回り差が0.28%なので1年満期が伸びるごとに金利が0.14%上がっています。
既存3.5年満期と新5年満期の利回りを比較する際は、新5年満期国債にペナルティ支払い後の利回りに更に満期差1.5年分(金利0.21%相当)を差し引いて満期3.5年相当に補正して評価するようにしてます。
コメントありがとうございます!
単純な表面利回りや解約ペナルティだけでなく、イールドカーブから満期差の補正値を算出して評価されているとは……!
非常に緻密でロジカルなアプローチ、大変勉強になります。
満期が異なる金融商品を比較する際、「時間のリスク」をどう数値化するかは頭を悩ませるポイントですが、そうして明確な基準を持って乗り換え判断をされているのは本当に素晴らしいですね。
おととい、妻の普通預金入れっぱなしになってる貯金を、説得して個人向け国債(固定5年2.24%)に入れさせました。
自分のお金は定期預金の満期が来たら(年明け)国債にするつもりです。
第三環境さん、コメントありがとうございます!
ご家族のお金を動かすのって、自分の資金以上に気を遣いますしパワーがいりますよね。
そんな中、国債に動かせたのは正直スゴイです。
ちなみに、我が家の場合は、妻の説得ができずに、家族口座はメガバンクの普通預金に塩漬け状態です。