著者:モンチ(投資歴25年・運用資産2億円/インデックス×社債で完全FIRE)
「市場が悪いときは、自分の投資手法は正しいのだろうか」——暴落のたびに、こう自問自答してしまう投資家は多いのではないでしょうか。私自身、リーマンショックの足音が忍び寄っていた2008年3月、まさにこの言葉から書き始めた記事を、当時のブログに残していました。
それから18年。あの記事を書いた本人は、53歳で28年以上勤めた大企業を退職し、2025年11月に完全FIREを達成しています。投資歴も気づけば25年を超えました。
「機関投資家というプロに、しょせん個人が勝てるわけがない」——そう感じて、投資に踏み出せずにいる方も多いと思います。しかし結論から言うと、個人投資家には機関投資家が絶対に持てない「強み」があり、それを活かすだけで、特別な才能がなくても資産は十分に築けます。
今回は、18年前に自分なりに整理した「個人投資家の強みと弱み」を振り返りながら、その内容が18年間でどう変わったのかを、実体験を交えて答え合わせしていきたいと思います。
2008年、リーマンショック前夜に整理した「個人投資家の強みと弱み」
そんな2008年3月、株価の下落が本格化するなか、私は市場の荒波でメンタルを保つため、自身のブログにこんな内容を書き留めました。
「我々個人投資家が他の投資家に勝つためには、個人投資家の強みを最大限に活かし、弱みを克服していく必要があると思います。」
(2008年3月24日の過去記事より)
当時、私が整理した「個人投資家の強みと弱み」の要約は以下の通りです。
個人投資家だけが持つ3つの強み
- 投資資金は自己管理のお金(プロのように解約対応で安値売りを迫られない)
- 短期間で結果を期待されない(何十年先の資産形成でOK)
- 好きな投資商品を持てる(自由なポートフォリオを組める)
当時感じていた2つの弱み:「情報格差と高コスト」
- 投資情報の入手が難しい(機関投資家の分析力には勝てない)
- 運用コストが高い(個人向けの投資信託は手数料が高い)
プロのような情報力がないなら市場平均(インデックス)を狙い、なるべく手数料の安い商品を探す。そして、焦らずじっくり時間を味方につける。これが当時の私の結論でした。
では、18年の時を経て、この環境はどう変わったのでしょうか。
【弱みの答え合わせ】新NISA時代に「情報の壁」と「高コスト」はどう消えたか
結論から言うと、2008年当時に感じていた「情報の壁」と「高コスト」という2つの弱みは、現在ほぼ完全に消滅したと言ってよいと思います。
ネットやSNSの発達により、プロが持っているような経済ニュースやデータは瞬時に個人のスマホに届くようになりました。
そして何より劇的だったのが「運用コスト」の低下です。 2008年当時、外国株(先進国株)に投資するインデックスファンドといえば「オルカン」や「S&P500」ではなく、「MSCI Kokusai」に連動するものが主流でした。当時は、今人気のeMAXISシリーズもなく、「STAM シリーズ(現在のSMTシリーズ)」というのが、超安価なインデックス投信として登場したばかりでした。グローバル株式インデックスで、その信託報酬は年率0.777%。 当時はこれでも「信託報酬1%を切るなんて、夢のような低コストだ!」とブログ界隈で大絶賛されていたのです。
しかし現在はどうでしょう。新NISAの誕生に加え、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」などの超低コストファンドが登場し、信託報酬はわずか0.05%台です。 実に、18年前の約13分の1のコストで、より広範な世界中の株式に1本で投資できる神時代になりました。現代の個人投資家は、プロとのハンディキャップが一切ない極めて恵まれた環境で運用できているのです。
| 項目 | 2008年当時 | 2026年現在 |
|---|---|---|
| 主力商品 | MSCI Kokusai連動型 | オルカン・S&P500など |
| 信託報酬(目安) | 約0.777% | 約0.05775% |
| 非課税制度 | なし(利益に約20%課税) | 新NISA(運用益が非課税)も使える |
| 情報環境 | 個人ブログが中心 | SNS・比較サイトで欲しい情報がすぐに手に入る |
「情報の壁」はネットとSNSの発達によって、「高コスト」は新NISAと超低コストなインデックスファンドの登場によって、それぞれほぼ解消されました。二つの弱みが同時に消えた今、個人投資家は歴史上もっとも恵まれた環境にいると感じます。
【強みの答え合わせ】資産2.28億円FIREを導いた「バイ・アンド・フォーゲット戦略」
一方、強みの方は18年経った今も色褪せるどころか、資産2億円を築くための最強の武器になりました。
3つの強みのうち、実際に一番効いたのは「②短期の結果を求められないこと」と「③自由に選択できること」を掛け合わせた、「買ったら忘れる(バイ・アンド・フォーゲット戦略)」です。
……と、格好よく言いましたが、実際の暴落局面はそう甘くありませんでした。
リーマンショックなどの暴落時、私は理論上「今はバーゲンセールだ」と分かっていても、深層心理では恐怖に支配され、いざ買い向かおうとすると足がすくんでしまうのです。 ポートフォリオ調整のために買い増しを行っても、自分の買付けスピードよりも株価の下落ペースの方が遥かに速く、見る見るうちに資産が目減りしていくのです。「荒波に飛び込むのをためらって予定額の一部しか買えない」という葛藤の連続でした。
それでも狼狽売りをせずに済んだのは、「自己資金だからじっくり待てる」「長期目線で考えればいい」という強みがあったからです。 そして何より、他でもない「ブログの存在」でした。弱音を吐きそうになる自分を律するため、当時の恐怖の心境や過去の暴落データをブログに書き記し、自分自身に「大丈夫だ」と暗示をかけていたのです。もしブログをやっていなければ、心が折れて資産状況から目を背け、市場から退場していたかもしれないと今でも思います。
長期目線で自由な商品を選び、あとはひたすら「買ったら忘れる(バイ・アンド・フォーゲット戦略)」を貫けたこと。これが、現在の大きな資産成長をもたらしてくれた最大の勝因です。
環境が良くなった今こそ潜む「新たな罠」——情報過多とメンタルのブレ
弱みが消滅し、運用環境が完璧になった現在。では、今の個人投資家にもう弱点はないのでしょうか?
実は、環境が良くなったからこそ直面している「新たな罠」があります。それは、情報過多による誘惑と、それに引き込まれるメンタルのブレです。
現在は、レバレッジを効かせた商品(レバナスなど)や、オルタナティブな投資、仮想通貨などが、スマホひとつで簡単に買えるようになりました。SNSを開けば「短期で資産が〇倍になった!」といった威勢の良い言葉が飛び交い、隣の芝生が青く見えてしまいます。
しかし、魅力的に見える高リスク・複雑な商品に手を出したり、プロの真似事をしてアクティブに動いたりすることは、多くの場合失敗に終わります。 過去の好成績に釣られて有名ファンドを買っても長続きしない「カリスママネージャーの賞味期限」や、アクティブ投資の罠については、過去記事でも詳しく書いています。
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選択肢が増えた現代だからこそ、「インデックスが王道である」という基本に立ち返り、自分に合ったリスク許容度(3つのバケツ戦略など)を把握して、ただ「ほったらかす」という強い意志が求められるのです。
まとめ|18年前の自分に伝えたいこと
18年前の自分に声をかけるなら、こう言いたいです。
「今買っているMSCI Kokusai連動型の投信は手数料0.777%だけど、そのまま買い増しを続けてじっくり待ちなさい。将来、オルカンという素晴らしい商品が出てきて、資産は2億円を超えて無事にFIREできるから」
今回の答え合わせをまとめると、
- 18年前に感じていた「情報の壁」はネット・SNSの発達で、「高コスト」は新NISAと低コストインデックスファンドの登場で、それぞれほぼ解消された
- 「自己資金・長期目線・自由な選択」という3つの強みは、今も資産形成の最強の武器
- 現代ならではの新しい弱みは「情報過多による誘惑」。ブレないメンタルこそが最大の防御策
市場が下落して自分の投資手法に不安になった時は、個人投資家だけが持つ「時間の猶予」という強みを、ぜひ思い出してみてください。
▼関連記事:暴落時のメンタル管理や、資産を守り方
皆さんが投資を始めた頃と比べて、「投資環境が良くなったな」と感じる部分はありますか?また、暴落や下落局面で「メンタルを保つために自分なりに工夫していること」があれば、ぜひコメント欄で教えてください!





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