投資の王道「安く買って高く売る」はなぜ難しい?
資産運用で成功するための理屈は、突き詰めれば非常にシンプルです。
それは、「安くなったところを買って、高くなったら売る」。
これこそが真理だと誰もが思うでしょう。
しかし、現実には多くの初心者投資家がこの逆をやってしまいます。
相場の調子が良くなって話題になると、「乗り遅れてはいけない」と高値で焦って購入する。その後すぐに暴落が来て、恐怖に耐えきれずに安値で手放してしまう…。
いわゆる「高値掴みの安値売り」です。
感情に任せて売買すると、人間はどうしても損をするようにできているのかもしれません。
感情を排除する「リバランス」という手法
そんな人間の感情による失敗を防ぐための、機械的な運用手法として「リバランス」があります。
例えば、自分の資産を「株式:債券=50:50」の比率で持つと決めます。
株式が値上がりして、比率が 60:40 になったとしましょう。
この時、高くなった株式を一部売り、安くなった債券を買い増すことで、元の 50:50 に戻します。
これを繰り返せば、自動的に「高いものを売り、安いものを買う」ことになり、利益を確定させながら平均取得単価を下げることができます。
これこそが長期投資の王道であり、最も合理的だと多くの解説書に書かれています。
インデックス投資に潜む「矛盾」
一方で、昨今の投資ブームで最適解とされているのが「インデックス投資」です。
S&P500やオルカン(全世界株式:MSCI ACWI)のように、市場全体の平均点を目指す手法です。
これらの代表的なインデックスは、「時価総額加重平均」というルールで作られています。
これは「企業(または国)の規模=時価総額」が大きいほど、投資比率を高くするというルールです。
「市場平均を買うのだから、これが正解だ」
多くの人がそう信じて疑いません。
しかし、ここで鋭い方はある矛盾に気づくはずです。
「あれ? インデックス投資の動きって、さっきの『リバランス』と逆のことをしてないか?」と。
株価が上がった時、インデックスは何をしているか
わかりやすい例として、ある国の株価が急騰したケースで考えてみます。
もし、あなたが比率を固定するリバランス派なら、どうするでしょうか?
値上がりして比率オーバーになった銘柄を「売る」はずです。
しかし、インデックス投資は違います。
株価が上がり、時価総額が大きくなればなるほど、インデックスの中におけるその銘柄の構成比率は「自動的に高まり」ます。
つまり、「値上がりして比率が上がったものは、さらに買い進める」という動きをするのです。
そう、実は「インデックス投資」と「リバランス」は、真逆の動きをしているのです。
「順張り」のインデックス vs 「逆張り」のリバランス
この矛盾の正体は、投資スタイルの決定的な違いにあります。
- インデックス投資(時価総額加重):順張り
- 「今、市場で勝っている強い国・企業」に資金を集中させる。
- 負けている(株価が下がっている)国や銘柄は、容赦なく比率を下げる。
- 「今の株価こそが正解である」という効率的市場仮説に基づいている。
- 固定比率のリバランス運用:逆張り
- 「行き過ぎた価格はいずれ適正に戻る(平均回帰)」という考えに基づいている。
- 人気がなくて売られている資産をあえて買い向かう。
- 「市場は間違える(売られすぎ・買われすぎがある)」ことを前提にしている。
過去のデータを見れば、成長し続ける米国株などに乗り続けた「インデックス(順張り)」の圧勝でした。しかし、だからといってリバランス派が間違っているとは言い切れません。順張りはバブルの頂点でも買い続けるため、暴落時のダメージをもろに受けるからです。
「矛盾」ではなく「役割分担」。アクセルとブレーキの関係
ここまで、インデックス投資(順張り)とリバランス(逆張り)の動きの違いを見てきましたが、これは決して「矛盾」としてどちらかを捨てるべき話ではないと思います。
車を運転するのにアクセルとブレーキの両方が必要なように、この2つは「異なる役割」を持っています。
インデックス投資の役割は「アクセル」
インデックス投資(時価総額加重平均)の最大の強みは、「順張り」による成長の最大化です。
調子の良い国や企業を自動的に買い増していくため、上昇相場の波に乗り、資産を大きく増やすエンジンの役割を果たします。
しかし、これには副作用があります。
インデックス投資は、「割高だろうがバブルだろうが、時価総額が大きければ買い続ける」という性質があります。
今の相場がバブルとまでは言いませんが、歴史的に見て株価が高い水準にあることは事実だと思います。この状態でインデックスの比率だけに頼ることは、「スピードが出ている状態で、さらにアクセルを踏み込み続ける」ような危うさをはらんでいます。
リバランスの役割は「ブレーキ」
そこで重要になるのが、リバランス(固定比率運用)です。
リバランスは、値上がりして比率が高まった資産を売る行為です。これは、加熱した相場から利益を確保し、「リスクを取りすぎている状態」を強制的にクールダウンさせる機能を持っています。
「株価が高い今、調子に乗って買いすぎないようにする」
この規律を守ることで、将来の暴落時のダメージを軽減することができると思います。
まとめ
もし、あなたが「今の株高が不安だ」「全てを市場任せにするのは怖い」と感じるなら、あえて「オルカン1本」にしないという選択が有効かもしれません。
ファンドを分ければ、自分でブレーキが踏める
「国内株」と「外国株」、あるいは「米国」「欧州」「日本」のように、地域別にファンドを分けて持つことで、リバランスのブレーキ機能が追加されます。
多少の手間はかかりますが、これは「バブル気味の割高な地域を売り、割安な地域を仕込む」という投資の基本動作そのものです。株価が高い今だからこそ、あえて「分ける」という選択肢を検討する価値は大いにあると思います。
ちなみに、私は過去「米国」「欧州」「日本」というので分けてましたが、今は「国内」「先進国(日本のぞく)」「新興国」の3つで分けて運用してます。
この話は続きがあります。内容は以下です




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