前回の記事の続きです。
前回は、インデックス投資(時価総額加重平均)は「順張り」、リバランスは「逆張り」であり、この2つは対立する性質を持つという内容を書きました。そして、まとめとして次の2点を書きました。
- インデックス(オルカン等)を一本で持たず、いくつかの地域(米国・日本など)に分けて持つことで、自分でリバランスを行い、リスク管理ができる
- 株が割高な今こそリスク管理が必要
今回は、もっとシンプルな方法で、この「順張り」と「逆張り」の両立を実現する仕組みについて記事にします。
といっても、難しい話ではなく、皆さんがすでに行っている(かもしれない?)「ドルコスト平均法」「積み立て投資」のことです。
インデックス投資は「順張り」=アクセル
まず、昨日も書いた投資対象である「インデックスファンド」の性質をおさらいです。
時価総額加重平均型のインデックス(オルカンやS&P500)は、株価が上がって規模が大きくなった企業の比率を増やし、ダメになった企業を減らします。
これは、市場のトレンドに乗り続ける「順張り」です。
- メリット: 成長する市場の利益を最大化できる(アクセル)。
- デメリット: バブルの高値でも買い進めてしまう。
つまり、投資対象そのものは「行け行けドンドン」の攻撃的な性格を持っています。放っておくとスピードを出しすぎる傾向があるのです。
ドルコスト平均法は「逆張り」=ブレーキ
一方、積立て投資である「ドルコスト平均法」は、インデックスのような投資対象とは真逆の性格を持っています。
「毎月決まった金額(例:毎月3万円)で買う」というシンプルなルールですが、これは株価の変動に対して、非常に高度な「逆張り」動きを自動的に行います。
おさらい:具体的にどう動くのか?
- 価格が高い時:
同じ3万円でも、買える口数が少なくなります。
これは、「今は高いから、あまり買わないでおこう」と自動的にブレーキをかけている状態です。これにより、高値掴みのダメージを最小限に抑えます。 - 価格が安い時:
同じ3万円で、普段より多くの口数を買うことができます。
これは、「今はバーゲンセールだから、今のうちに大量に仕込んでおこう」と自動的にアクセルを踏んでいる状態です。
感情を排除した「逆張り」
私もそうですが、自分の意志で「暴落したから買い増そう」と判断するのは困難です。だいたい恐怖で足がすくんでしまって買い増しが難しいです。
しかし、ドルコスト平均法を設定しておけば、機械が感情を無視して、暴落時に淡々と大量の買い付けを行ってくれます。
いまさらですが、ドルコスト平均法とは、「安く買って高く売る(高値では買わない)」という投資の理想的な行動を、自動システム化したものと言えます。
「順張りの投資対象」×「逆張りの買い方」= 最強の組み合わせ
ここが今回の記事の核心です。
よく、投資入門などの解説では「インデックス投資」と「積立投資」をセットで語りますが、実はこの2つは概念がことなるのでないかということです。
- インデックス投資: 投資する対象(投資対象 / What)
- ドルコスト平均法: 投資する手法(管理 / How)
そして、この「投資対象」と「管理」を組み合わせることで、順張りと逆張りのいいとこ取りができるようになります。
「質」と「量」のダブル管理
- 商品(インデックス):
中身は「今、世界で勝っている強い企業・国」にどんどん入れ替わっていく(順張り)。
役割:「質」の管理(ダメな企業を捨てて、良い企業を持つ)。 - 買い方(積立):
相場が下がった時にたくさん買う(逆張り)。
役割:「量」の管理(安い時に量を確保して、平均取得単価を下げる)。
この2つが組み合わさることで、
「世界経済の成長(順張り)を信じつつ、日々の価格変動においては暴落をチャンスに変える(逆張り)」
という、攻守最強のポートフォリオが完成します。
完全な逆張りとは違う「負けない」強み
ただし、ドルコスト平均法には、株で稼ぐと考えている方やプロが行う「完全な逆張り」とは異なる点があります。
それは、「相場が良い時、つまり高値圏でも、一定量は買ってしまう」ということです。
プロの方なら、「今は高すぎるから全て現金化して待機し、大暴落の底値で買う」という戦略を取るかもしれません。成功すれば利益は最大になりますが、「いつ暴落するか」を予測するのは不可能であり、待っている間に株価が上がり続けて「置いていかれる」つまり機会損失リスクがあります。
一方、ドルコスト平均法は、最高値を更新している時でも、口数は少なくなるものの淡々と買い続けます。
底値だけで買うほどの爆発力はありませんが、「買うのを待っていたら置いていかれた」という機会損失を100%防ぐことができます。
将来を予測することは不要です。
市場が上がっても(利益が出る)、下がっても(たくさん買える)。
どちらに転んでも「正解」にできるメンタルの安定感こそが、この組み合わせの最大のメリットです。
まとめ
前回、「インデックスを地域別に分けてリバランスする」という手法を紹介しました。これは「保有資産のメンテナンス」によるブレーキ機能です。
そして、今回紹介した「インデックス(商品)+ドルコスト平均法(管理)」もまた、アクセルとブレーキの両方を兼ね備えた、非常に優れた手段です。
- インデックス投資というアクセルで、資産を成長させる。
- ドルコスト平均法というブレーキで、高値掴みを防ぎリスクを管理する。
もし、地域別のリバランスを「面倒くさい」と感じるなら、「オルカンなどのインデックスファンドを、ただ積み立てる」。
これだけで、あなたは知らず知らずのうちに、順張りと逆張りを巧みに使い分ける「高度な投資システム」を運用していることになると思います。




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