著者:モンチ(投資歴25年・運用資産2億円/インデックス×社債で完全FIRE)
連日のように報じられる株高のニュース。株式インデックス投資の評価額が上昇し続ける画面を眺めながら、「これさえ持っていれば資産は安泰だ」と頼もしく感じている方は多いはずです。
しかしその一方で、「この好調はいつまで続くのか」「いつか大暴落が来るのではないか」という不安を、心のどこかに抱えてもいるのではないでしょうか。
株式が圧倒的に優位に見える今だからこそ、市場サイクルは必ず巡るという歴史の教訓を学ぶべきだと考えています。
もちろん、強靭なメンタルを持つ投資上級者であれば、株式の長期成長を信じてホールドし続けるのも一つの正解だと思います。
しかし、資産の大きな変動にストレスを感じたくない方には、オルカン一本に頼るスタイルから卒業し、債券・金などのコモディティ・REITを組み合わせた「マルチアセット戦略」へシフトすることをお勧めします。機械的なリバランスを軸に据えることで、せっかく築いた資産を大きく損なわずに、必ずやってくる「冬の時代」を乗り越えることができます。
リーマンショックの地獄と債券バブル。18年前の投資ブログが警告する「相場の熱狂」
市場のバブルは、時代ごとに主役となる資産の姿を変えながら、歴史上繰り返されてきました。
連日の株高ニュースを眺めながら「過去にも似たような熱狂があったな」と思い、情報を整理していたところ、18年以上前に書いていた古いブログに一つの記事を見つけました。タイトルは『債券バブルが始まっているのか?(2008/12/10)』。
当時、日経平均株価は2万円近くから一気に7,000円台まで叩き落とされていました。モニター越しにその光景を見つめながら、胃はキリキリと痛み、すべてを投げ出して市場から逃げ出したいという強い衝動に駆られていた——そんな地獄のような日々の中で、異常事態が起きていました。安全資産とされる米国短期国債に世界中のマネーが殺到し、利回りが史上初の「マイナス金利」を記録したのです。
今でこそ株高が話題ですが、あの頃の主役は米国債券でした。そして当時の私は、「次は売られすぎた株式の時代が来るかも」と、景気循環について記事に書き残していました。
(2008年12月10日の過去のブログより引用)
利回りがマイナスです!!。
例えば、100万円の価値しかない債券を100万100円で買っているんですよ。普通の人だと買わないと思うんですがそれでも売れるから不思議です。(中略)
こういう現象はもう「債券バブル」って呼んで良いのかもしれません。
(中略)
株価がピークをつけ、商品市場もピークをつけ、今は債券がピーク。
どこかでこの循環について書いた気が、、、、(笑)
実は、08/02/20の記事「 「景気サイクル」と「株式・債券・商品」の関係 ・・・ 恒久ポートフォリオ(?)」でも少し書きましたが、「景気サイクル」と「株式・債券・商品」には、次のような関係があるようです。
論文データが証明する「景気サイクルの春夏秋冬」と資産ごとのリターン
なぜ、ひとつの資産だけを持ち続けることが危険なのでしょうか。それは、景気のサイクル(4つのフェーズ)ごとに、最も高いリターンを上げる資産が入れ替わるからです。
当時の古いブログ記事で引用した、ルーウェンホーストとゴートンの著名な論文「Facts and Fantasies about Commodity Futures(2004年)」では、1959年から2004年までの長期データに基づき、景気の「春夏秋冬」における各資産のリターンが検証されていました。
【景気サイクルと各資産のリターン(1959年〜2004年)】
| 景気の季節 | 株 | 債券 | コモディティ |
|---|---|---|---|
| 🌸春(景気拡大・前半) | 16.3% | 9.98% | 6.76% |
| ☀️夏(景気拡大・後半) | 10.4% | 3.63% | 16.71% |
| 🍂秋(景気減速・前半) | -18.64% | -3.88% | 3.74% |
| ☃️冬(景気減速・後半) | 19.69% | 29.07% | -1.63% |
この表を見ると、季節ごとに主役となる資産が明確に入れ替わっていることが分かります。
- 🌸春:景気拡大・前半
株の独壇場です。企業業績が伸び、株式や債券が非常に強いリターンを示す一方で、コモディティはまだ静かな動きに留まっています。 - ☀️夏:景気拡大・後半
インフレとコモディティの季節です。物価が上がりコモディティが爆発的に強くなる一方、株はリターンが減速し始め、金利上昇によって債券は冬の時代を迎えます。 - 🍂秋:景気減速・前半
リセッション(景気後退)の入り口です。株も債券も揃って大きくマイナスに沈む中、実物資産であるコモディティだけが唯一プラスを維持し、傷ついたポートフォリオのクッションとして機能してくれます。 - ☃️冬:景気減速・後半
リセッションが本格化し、金融緩和が行われる時期です。金利が急低下(債券価格が上昇)するため、債券が爆発的なリターンを上げて資産を守り抜きます。同時に、株式も次の春を睨んで大きな反発を始めますが、この時期はコモディティがマイナスに転じます。
さらに、この研究には重要な続きがあります。
2015年に、著者らが新たな研究者も加えて新しい論文「Facts and Fantasies about Commodity Futures Ten Years Later」を発表し、その後の10年間(2004年〜2014年)のデータを追加して再検証を行いました。その結果、金融危機などで市場環境が大きく変化したにもかかわらず、かつての論文で示された「景気循環と各資産のリターンの関係性」は引き続き有効であることが追加で証明されています。
時代が変わっても、資本主義における「春夏秋冬」の法則は確実に存在しているということです。
2026年現在はどの季節?「オルカン一本」の過信に潜む暴落フラグ
では翻って、2026年現在の市場はどの季節に位置しているのでしょうか。
世界的な株高、そしてオルカン最強とも言える環境は、「永遠に続く春」ではなく、過去のバブル直前と同じ空気感をまとっているように私には感じられ、心の片隅に拭いきれない不安を覚えています。
以前の記事でも触れましたが、直近の米国株S&P500のCAPEレシオ(インフレ調整後の過去10年平均利益をもとに算出した株価収益率)は40倍に達しています。これは、市場の明確な過熱・割高水準を示すシグナルです。
🔗 関連記事
投資歴25年の記憶を辿ると、バブルの絶頂期にはいつも「今回は過去とは違う」という、もっともらしい言い訳が市場に溢れていました。
ITバブルの頃は「インターネットという新時代の到来だから、今の株高は正当化される」と言われ、リーマンショック前夜には「高度な金融工学でサブプライムローンのリスクを世界中に分散しているから、致命的な暴落はもう起きない」と専門家たちが口をそろえていました。
そして今、市場では「AIが革命を牽引しているから、この株高は全く問題ない」という声が聞こえてきます。過去のバブル期と完全に同じ文脈の言葉です。私にはこれが、あの頃と同じ”死亡フラグ”に見えてきます。
しかも厄介なのは、「本当の天井がどこか」は誰にも分からないという点です。まだ伸びるかもしれないという熱気と、過去の暴落の記憶が交錯する今の相場環境は、投資上級者であっても判断の難しい局面です。
資産2億円を守り抜く。今すぐポートフォリオに「債券・金・リート」を組み込む理由
天井が誰にも予測できない以上、取るべき行動は限られています。感情を排除して機械的にリバランスを行い、異なる値動きをする資産へ分散する——それが、資産寿命を延ばすための防衛策です。
- 債券 「金利ある世界」が戻った今、日本の個人向け国債(変動10年)や社債は、確実な利子を生む「冬の最強の盾」として機能します。
- コモディティ(ゴールドなど) インフレ期や地政学リスクが高まる局面で株式と逆相関の動きをし、ポートフォリオの実質的な購買力を守る保険となります。
- リート(不動産投資信託) 安定した分配金利回りに加え、実物資産としてインフレへッジの役割も果たします。
それぞれの直近10年の価格推移を調べた記事もありますので、あわせて参考にしてください。
🔗 関連記事
また、投資の目的として、最高のリターンを追い求めるという考え方もあるでしょう。しかし私たちのような普通の投資家にとっての本当の目的は、リタイア後の生活を心穏やかに維持し、どんな大暴落が来ても「夜ぐっすり眠れること」ではないでしょうか。
世界最大のヘッジファンド創設者であるレイ・ダリオ氏が提唱する「オールウェザー(全天候型)ポートフォリオ」の思想は、あらゆる景気サイクル(春夏秋冬)を敵に回さず、すべてを味方につけるというものです。私の場合もリスク資産として運用している部分については、実際に金やリートなどの異なる資産を組み込んで分散を図っています。
オルカン一本の画面を見てハラハラするより、この配分があるからこそ、次の「冬」が来てもやり過ごせる。その強固な安心感こそが、リタイア生活の何よりの財産になります。
🔗 関連記事
まとめ:永遠に続く「春」はない。株高の今だからこそ冬の備えを
投資の世界に「永遠に続く春」は存在しません。「AI革命だから大丈夫」という甘い言葉に惑わされず、過去のバブルの教訓を静かに思い出してほしいと思います。
オルカンなどの株式インデックスが力強く上昇し、資産が大きく増えている今こそ、一部を利益確定して債券・コモディティ・リートに分散する「リバランス」を実行する絶好のタイミングです。
相場が荒れ狂う「冬」が到来してから慌てるのではなく、まだ晴天のうちに静かに全天候型の守りを固める。その一手こそが、「夜ぐっすり眠れる日々」をつくってくれるはずです。
※本記事は特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任においてお願いいたします。





コメント