【FIRE民の債券戦略】金利上昇局面で個人向け国債を売らずに持ち続ける3つの理由

最強の盾!FIRE民の個人向け国債戦略 投資の基本

 著者:モンチ(投資歴25年・運用資産2億円/インデックス×社債で完全FIRE)

「最近、長期金利が上がっているというニュースをよく見ますよね。新しく債券を買うには嬉しい状況ですが、過去に低い金利で買った債券を持っている場合、もしかして損をしているのでは……?」と不安になっていませんか?

私の資産の約4割は、個人向け国債や社債といった「債券」で構成されています。FIRE後の生活費を生み出す「中期バケツ(守りの資産)」として、債券は非常に重要な役割を担っているからです。しかし、金利が上昇している今、投資の基本である「金利が上がると債券価格は下がる」という原則に直面しています。

今回は、金利上昇局面で過去に買った債券に一体何が起きているのかを、誰でもわかる「簡易計算式」を使って理論的にシミュレーションしてみます。その上で、理論上は「含み損」を抱えていても、私が「個人向け国債」を利用する理由を解説します。

この記事を読めば、債券の価格変動のメカニズムが理解でき、ニュースを見ても心穏やかに過ごせるようになるはずです。

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【2026年最新】個人向け国債(固定5年)の金利が1.79%に急上昇!

日銀の利上げ観測などもあり、ここ最近の日本の金利は明確な上昇トレンドを描いています。
それがダイレクトに反映されているのが、毎月発行される「個人向け国債」の利率です。

まずは、最新(令和8年4月募集)の個人向け国債の金利条件を見てみましょう。

参考:財務省:2026.04.03:個人向け国債(変動10年・第193回他)の発行条件等

なんと、「固定5年」の金利が年1.79%(税引前)という非常に魅力的な水準にまで上がってきています。銀行の定期預金と比べれば、とんでもない高金利ですよね。新しく資金を投入するなら、思わずニッタリしてしまう好条件です。

しかし、ここで私の過去の投資履歴を振り返ってみます。
実は私、ちょうど1年ほど前(2025年の4月・5月)に、同じ「固定5年」の個人向け国債を購入していました。当時の記録がこちらです。

  • 第168回(固定5年):年1.03%
  • 第169回(固定5年):年0.95%

たった1年前は、1%に届くか届かないかの水準でした。
「同じ5年間お金を預けるのに、1年待っただけで金利が倍近く違う!」という残酷な現実があります。

では、この「1年前に買った金利1.0%の債券」を今持っている私は、市場においてどのような状況に置かれているのでしょうか?

【基礎知識】金利上昇で債券は含み損になる?債券価格が下がる仕組み

債券投資では、「市場金利が上がると、すでに発行されている債券の価格は下がる(=金利と価格は逆相関)」という絶対的なルールがあります。

理屈はとてもシンプルで、

今、債券を新しく買えば「年1.8%」の利息がもらえる状況だとします。そんな時に、私が1年前に買った「年1.0%」しか利息がつかない債券を、わざわざ額面通り(100円)では買ってくれません。買ってもらうためには、1.8%の新しい債券と同じくらい儲かるように、安く値引きする必要があります。

つまり、今の市場環境では、私が1年前に買った債券は「理論上、価格が下がっている」ことになります。

【簡易計算】1年前の債券、現在の含み損をシミュレーション

では、実際にどれくらい価格が下がっているのか?
よく使われる「簡易的な計算式(近似値)」を使って、直感的に理解してみましょう。

計算式は以下の通りです。

債券価格 ≈ 100 - (市場金利 - クーポン) × 残存期間

これを、私の持っている1年前の債券(金利約1.0%、残り期間4年)、そして現在の市場金利(約1.8%)に当てはめて計算してみます。

  • 市場金利(1.8%)- クーポン(1.0%)= 0.8%
  • これに残り期間の4年を掛けます。 0.8% × 4年 = 3.2%
  • つまり、額面100円から3.2円を値引きしなければなりません。

100 - 3.2 = 96.8円

私が1年前に例えば100万円で買った債券は、今市場で売ろうとすると96万8千円の価値しかないということです。
つまり、理論上は約3%も元本がダウン(含み損)している状態となります。

含み損でも慌てない!FIRE民が個人向け国債を売らない3つの理由

「えっ!元本保証だと思って買ったのに、3%も損してるの!」計算結果を見て、そう思った方もいるかもしれません。

もしこれが市場で売買される利付国債や社債の場合、今現金化しようとすると本当に3%の元本割れで売却する必要があります。

しかし、私が買っているのはただの債券ではなく「個人向け国債」となります。

そのため、市場の価格暴落を完全に無力化する、投資家にとって最強の特例ルールが存在します。

理由①:元本割れを防ぐ特例「中途換金ルール(途中解約)」

個人向け国債は、発行から1年が経過すれば、いつでも元本で国に買い取ってもらうこと(中途換金)が可能です。

中途換金の条件は、「直前2回分(約1年分)の利子をペナルティとして返上する必要がある」点です。しかし、2回分の利子を返すだけで、元本はきっちり「100円(額面金額)」で国が買い取ってくれます

つまり、1年以上保有していれば、元本割れするリスクは実質的にゼロとなります。この特例がある限り、金利がいくら上がろうが、個人向け国債を持っていれば絶対に安心できます。

厳密には「直近2回分の利子(税引前)× 0.79685」が差し引かれますが、これはあくまで「これまで貰った利息の一部を返す」だけです。元本である100円部分に食い込むことは絶対にありません。

理由②:ほったらかしでOK!基本は「満期」まで持つだけ

そして、一番の正解はとてもシンプルです。
「途中の含み損なんて気にせず、満期までほったらかして持てばいい」ことです。

債券は、満期まで持ち切れば、必ず額面通り(100円)で現金が戻ってきます。途中の市場価格が96円に下がろうが80円に暴落しようが、満期まで持てば全く関係ありません。

私自身も、1年前に買った1.0%の国債は、途中解約などせず、残り4年間静かに満期を待つつもりです。

理由③:資金拘束のデメリットを防ぐ「債券ラダー戦略」

ただ、「満期まで持てばいい」という正攻法にも、一つだけ弱点があります。

それは、「すべての資金を5年後や10年後の満期に集中させてしまうと、急に現金が必要になった時に引き出せない(資金が長期間拘束されてしまう)」という問題です。

いくら中途換金で元本が保証されるとはいえ、直前1年分の利子をペナルティとして没収されるのは悔しいですよね。

この「資金拘束の事態」に陥らないための解決策として、私が実践しているのが「債券ラダー戦略」です。これは、手持ちの資金を一度に同じ債券に突っ込むのではなく、「満期(償還日)が1年後、2年後、3年後……と、毎年順番にやってくるように、時期をずらして複数の債券を買う」という手法です。

はしご(=ラダー)のように満期をずらしておくことで、毎年必ず現金が手元に戻ってきます。急な出費があればその満期金を使えばいいですし、使わなければ、その時の新しい金利(例えば今回の1.79%)の債券を買い直せばいいことになります。

つまり、「満期まで持ち切る安心感」と「必要な時に現金が手に入る流動性」を両立させるために、ラダー戦略が存在するわけです。

▼「債券ラダー戦略」の具体的な仕組みについては、こちらの過去記事で詳しく解説しています。

さいごに

今回は、金利上昇局面における債券価格の仕組みと、個人向け国債の強さについて解説しました。
要点をまとめます。

  • 金利が上がると、過去の低金利な債券の価格は下がる(逆相関の法則)。
  • 理論上は含み損が発生していても、個人向け国債なら特例があるため全く心配いらない。
  • 基本は「満期まで持てばいい」。
  • 資金拘束を防ぐために、満期をずらす「ラダー戦略」が有効。

投資のメカニズム、特に債券の価格変動の仕組みを知っておけば、金利上昇のニュースを見ても「損をしてるんじゃないか」と慌てることはなくなります。

個人向け国債は、仕組みを正しく理解して使えば、株式の暴落を支える最強のクッションになります。


※本記事は特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任においてお願いいたします。

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