著者:モンチ(投資歴26年・運用資産2億円/インデックス×社債で完全FIRE)
楽天証券のサイトを開くと、「楽天グループ第26回無担保社債」の案内が大きく出ていました。
仮条件は年3.800%〜4.600%(税引前)。しかも「楽天モバイル回線1年間無料(月30GB)」の特典付き。
定期預金とは桁違いの利率に、通信費まで浮くとなれば、「これは!」と前のめりになりますよね。そして、「発行額3,600億円」「格付けはA-」という文字が目に入り、「条件が良すぎて、逆に大丈夫なの?」と手が止まった方もいるのではないでしょうか。
この記事では、投資歴25年、運用資産2億円で完全FIREを達成し、資産の半分を債券で固める「守りの投資家」の目線から、今回の楽天社債を冷静に分析します。
私の考えでは、楽天グループが持つ金融・EC事業の強力な収益力を考えれば、数年内の短期的な資金ショートリスクは低いと考えています。ただし、5.5年という期間にわたる利払い負担や格下げリスクを考慮すると、決して無リスク資産ではありません。ポートフォリオのサテライト枠(全体の数%以内)として検討すべき、というのが結論です。
第26回楽天グループ社債の基本スペックと注目特典
まずは、商品の基本スペックと話題の「購入特典」、および募集スケジュールについて整理してみます。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 楽天グループ株式会社 第26回無担保社債 |
| 期間 | 5年6ヶ月(償還日:2032年4月28日) |
| 利率 | 年3.800%〜4.600%(仮条件・税引前) |
| 発行額 | 3,600億円 |
| 格付 | A-(JCR)取得予定 |
| 最低購入額 | 100万円以上100万円単位 |
| 購入特典 | 楽天モバイル回線1年間無料(月30GB) |
【募集スケジュール】
- 条件決定日:2026年10月16日(金)予定
- 申込期間:2026年10月19日(月)〜 10月28日(水)予定
- 払込日(発行日):2026年10月29日(木)
※仮条件の段階の情報です。最終的な利率や申込条件は、楽天証券の商品ページでご確認ください。
そして、私個人的にうれしいのが、「楽天モバイルのデータ専用SIM(月30GB)が1年間無料で使える」という特典です。
「月30GB無料ならめちゃくちゃお得じゃない?」と感じるかもしれませんが、もちろん投資判断としては少し冷静になる必要があります。
仮に、この特典によって毎月の通信費が1,000円浮いたとしたら、年間で12,000円の節約です。この無料特典は「最初の1年間のみ」であるため、社債の全期間である5.5年間(66ヶ月)で割って年平均化すると、最低購入金額である100万円に対して約「+0.22%」の利回り上乗せ効果にすぎません。
金額換算すると年平均+0.22%程度。利率本体の約4%に比べたら微々たるものであり、特典目当てで投資判断を狂わせるべきではありません。とはいえ、私自身はスマホのサブ回線としてこのSIM特典をすごく楽しみにしています。あくまで「嬉しいおまけ」として割り切るのが健全な付き合い方です。
利回り最大4.6%は危ない?市場平均や過去の楽天社債と比較
今回の楽天社債が注目される最大の理由は、やはりその高い利率です。日本証券業協会の売買参考統計値データによると、5年A格の平均利回りは3.05%、6年A格でも3.197%です。一方で、リスクが高いとされる5年BBB格の平均利回りは3.127%となっています(2026/10/13時点)。
- 5年のA格:3.05%
- 6年のA格:3.197%
- 5年のBBB格:3.127%
今回の楽天債は仮条件の上限が4.600%であり、A-の格付けを取得予定でありながら、BBB格の市場平均に比べても最大で約+1.47%ほどの高い利率がついています。
そして、過去の楽天社債(楽天グループの発行履歴)と並べると、違いはもっとはっきりします。
| 回号 | 期間 | 利率 |
|---|---|---|
| 第22回 | 2年 | 3.30% |
| 第24回 | 5年 | 3.26% |
| 第25回 | 3年 | 2.336% |
| 第26回(今回) | 5.5年 | 3.80〜4.60%(仮条件) |
「なぜこんなに金利が高いの?」と疑問に感じると思います。
理由はシンプルで、市場金利全体が上昇傾向にあることにくわえ、3,600億円という巨額の資金を確実に個人投資家から集め切る必要があるからです。楽天側が大盤振る舞いをしているとも言えますが、裏を返せば、市場は実質BBB格以下のリスクを織り込んでいると見ることもできます。
▼参考記事
「金利が上がると債券の価格はどう動くのか?」「金利上昇局面で手持ちの債券はどう扱うべきか?」という基本については、こちらの記事も参考にしてください。
楽天グループの倒産リスクは?業績データから読み解く安全性と懸念点
「そんなに高金利なら、楽天が倒産するリスクがあるのでは?」という不安の声も聞こえてきそうです。
しかし、短期的な資金ショートの可能性は極めて低いというのが私の考えです。楽天グループは、モバイル事業が依然として黒字化の途上であり、純損益ベースでは赤字が続いているものの、楽天カード、楽天銀行、楽天証券などを含むフィンテック事業と、楽天市場を中心とするEC事業が、2026年上期に合計約1,719億円のセグメント利益(Non-GAAP営業利益)を計上するなど、高い収益力を持っています。両事業はグループ全体の利益と資金繰りを支える中核であり、本業の稼ぐ力は本物だと考えます。
※参考: 楽天グループ株式会社2026年度第2四半期 決算ハイライトに関するお知らせ
一方で、今回の調達額3,600億円に対して仮に年4%の利率がつけば、年間約144億円の利払い負担が発生します。これが5.5年間継続するというのは、企業にとって決して軽い重荷ではないと思います。
5.5年という歳月は、変化の激しいIT業界においては非常に長い時間です。短期的な倒産は考えにくくとも、途中で業績が変動し、格下げなどのリスクに晒される可能性は十分にあります。
▼参考記事
特定の個別社債に資金を集中させず、満期を分散させることで金利リスクを味方につける具体的な手法については、以下のガイドで解説しています。
FIRE達成者が教える!「高利回り社債」との賢い付き合い方
「株だけ持っていたほうが儲かるのでは?」という声もあります。確かに、相場が好調なときはそう見えます。でも、私の投資の目的は 「大勝ちすることではなく、暴落時に市場から退場しないこと」 です。
私は25年の投資歴のなかで、ITバブル崩壊やリーマンショックなどの暴落を経験してきました。株式のみのフルインベストメントで相場に立ち向かうと、資産が半減していく恐怖のなかでいずれ精神的な限界を迎えてしまうことを痛感したのです。
だから私は、資産の半分を債券で持っています。債券は「儲けるための資産」ではなく、暴落時の「クッション」 です。このクッションがあるので、暴落のニュースを見ても心穏やかに過ごせています。
ちなみに、私自身は、今回の債券を100万円だけ申し込む予定です。
▼参考記事
債券という守りの資産をここまで重視するようになったのか。その運用哲学とリアルな心境の変化については、以下の記事で詳しく書いています。
まとめ:楽天第26回社債はどんな人におすすめ?
ここまで、第26回楽天グループ社債について、データと私なりの考えを交えて分析してきました。
最後に、この社債が向いている人と向いていない人を整理します。
向いている人
- 資産の数%以内のサテライト枠で、利息収入(インカムゲイン)を狙いたい人
- 月30GBのサブ回線を有効活用できる人
- 短期的な倒産リスクは低いと理解したうえで、割り切れる人
向いていない人
- 元本保証(個人向け国債など)を求める人
- 手持ち資金の大部分を一括で投資しようとする人
私の位置づけは、あくまで「リスクを取ったサテライト枠」です。買うとしても資産の数%以内にとどめ、ほかの債券とは満期をずらして持つ。年3.8〜4.6%という数字は魅力的ですが、元本保証ではありません。
PS
あなたは今回の社債、どう判断しますか? ぜひコメント欄で教えてください。
※本記事は特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任においてお願いいたします。





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