著者:モンチ(投資歴25年・運用資産2億円/インデックス×社債で完全FIRE)
先日、ふと目にした日経新聞のニュースに、正直かなり驚きました。見出しには「40〜50代の3割超、『65歳以降も働きたい』 マイナビ調査」という文字がありました。
これを見た瞬間、「世の中には、これほど長く働き続けたいと考える人が多いのか」と戸惑いを覚えたほどです。FIRE(経済的自立と早期リタイア)を目指して達成した身からすると、「お金の目処さえ立てば、さっさと会社を辞めたい」というのが世の中の総意だと勝手に思い込んでいたからです。
気になって、ニュースの元となった最新の調査や過去のデータを紐解いてみると、見えてきたのは「働く理由」が世代によってまったく違うという現実でした。
調査データを読み解くと、明確な傾向が見えてきました。若者は「生活費と成長」のため、40・50代は「お金の不安」から、そして60・70代は「お金がなくても社会とのつながり」のために働いているのです。50代のうちに経済的自立の状況を作ってしまえば、この「お金の不安で職場にしがみつく苦しい時期」を丸ごとスキップし、60代が本来求める「居場所づくり」を先取りすることができます。
今回は、日経新聞のニュースの背景にあるマイナビの調査データを深掘りして見えてきた「世代による働く理由の明確な違い」についてお話しします。
定年後も働く理由は?年代別で違う「仕事の目的」と残酷な現実
マイナビが2026年8月28日に発表した「ミドルシニアの働く意識に関する実態調査」によると、40・50代の正社員のうち、65歳まで働きたい人が36.8%、65歳以降も働き続けたい人が30.1%でした。合計すると66.9%となり、実に3人に2人が「少なくとも65歳までは、あるいはそれ以降も働き続けたい」と視野に入れているそうです。さらに、60歳以上まで働きたいと考える層は9割を超えているとのことでした。

正直、この数字だけを見て「みんなそんなに仕事が好きなのか」と一瞬思いましたが、過去の調査を遡ってみると事情はまったく違いました。年代ごとの「働く理由」を私なりに整理すると、こういうことだと思います。
- 若者はお金のために働く。
- 40・50代はお金の不安から働く。
- 60・70代はお金がなくても居場所のために働く。
言い換えるなら、人間はお金のためだけには働きたくないけれど、社会との接点がゼロになることにも耐えられない生き物なのかもしれません。それぞれの世代について、具体的に見ていきましょう。
若年層(10〜30代):仕事はあくまで「生活費と成長」の手段
マイナビの「ミドルシニア/シニア層のアルバイト調査(2026年)」における若年層の就労意欲を見ると、「働かなくてもいいなら働きたくない」という回答が半数(52.6〜60.8%)を超えています。彼らにとって、仕事はあくまで「生活費を稼ぐ手段」というドライな割り切りが見えます。
ただし、彼らは決して「怠けたい」わけではありません。むしろ怖いのは「成長の機会損失」のようです。以前記事にした「ホワイトすぎて辞める」現象がまさにこれで、放置されることで自分のスキル(人的資本)が目減りしていく——その「成長の機会損失」への危機感こそが、彼らを動かしている本当の理由ではないでしょうか。
▼参考記事
ミドル層(40〜50代):老後のお金の不安から「今の職場」にしがみつく
次に、私たち40〜50代のミドル層です。
マイナビの「ミドルシニアの働く意識に関する実態調査(2026年)」によると、40・50代の正社員の9割超が「60歳以上まで働きたい」と回答しています。
一見すると「就労意欲が高くて素晴らしい」と思うかもしれません。しかし2021年のマイナビ「ミドルシニア/シニア層の就労者実態調査」で「働く目的」を尋ねた結果を見ると、厳しい内実が透けて見えます。過去の調査(2021年)では、就労目的の1位が「自分の生活費」で68.8%、2位が「貯金」で51.2%でした。つまり動機の中心は、生きがいでも自己実現でもなく、純粋な生活防衛だったのです。
しかも希望する働き方は「慣れ親しんだ職場で働き続けたい」という声が中心です。本当は環境を変えたくても、未知の場所に飛び込むリスクが取れないから、今の会社にしがみつく。物価高や老後2000万円問題などの圧力の中で、多くの同世代が「消極的な継続」を選んでいるのが実態だと、私は感じました。
シニア層(60〜70代):定年後はお金より「社会とのつながり・居場所」を求める
ところが、60代・70代になると景色が一変します。マイナビのアルバイト調査(2026年)では、「働かなくてもいい状況でも働きたい」と答えたシニアが多数存在し、その目的のトップは「健康維持のため」(男性45.7%・女性48.8%)でした。生活リズムを整える、社会と接点を持つ、といった非経済的な理由が前面に出てくるのです。実際に、アルバイトによって「生活の質が向上した」と答えた人は58.7%にのぼりました。
つまり、お金の不安がなくなったとしても、毎日自宅にこもっていては息が詰まってしまいます。彼らは家庭でも職場でもない、社会とつながるための「サードプレイス(第3の居場所)」を切実に求めて働きに出ています。
以前の記事でも触れましたが、「楽しそうな仕事なら0円でも受ける」と語る元広告代理店役員の方や、「自分の都合の良い日だけ」釣り船を運営する自給自足系FIREの方のお話を聞くと、生活費のためではなく、自身が好きで働いている方は生き生きとしています。きっとシニア層が求めるのは、このような状態なのだと思います。
▼参考記事
50代FIREで気づいた、本当の自由の正体
こうして世代ごとのデータを見てくると、FIRE(経済的自立と早期リタイア)がもたらす「本当の価値」がはっきりと見えてきます。
それは、40・50代の「生活費のために会社にしがみつく苦しい時期」をスキップし、60代の理想形である「お金に縛られない居場所づくり」を前倒しでスタートできるということです。
正直に言って、もし私が投資をしていなかったら間違いなく私も、給料が下がろうと年下の上司にペコペコしながら今の会社にしがみつく、多数派である「あの7割」の側にいたと思います。
投資をしてFI(経済的自立)を達成したからこそ、私は生活防衛のためだけの労働から卒業することができました。
まとめ|50代でのFIRE達成は「定年後の豊かな居場所」を先取りできる
今日の内容を整理します。
- 若者(10〜30代)は「生活費と成長」のために働く。働く必要がなければ働きたくない
- ミドル(40〜50代)は「老後のお金の不安」から、今の職場にしがみつく
- シニア(60〜70代)は、お金の不安が消えれば「社会との接点・やりがい」のために働きたい
- 50代FIREの真価は、苦しいミドル期をスキップし、60代の理想である「お金に縛られない居場所づくり」を先取りできること
お金の不安さえ投資でしっかりと消してしまえば、誰と、どうやって社会と関わっていくかは私たちの自由です。嫌な上司と顔を合わせる必要も、満員電車に揺られる必要もありません。
資産運用は、単に口座の数字を増やすゲームではなく、人生後半の「選択の自由」と「穏やかな居場所」を買うための最強のツールなのだと思います。




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