イオン第31回無担保社債は買いか?50代FIRE民の投資判断

イオン社債は買いか? 50代FIRE民の決断 金融商品

 著者:モンチ(投資歴25年・運用資産2億円/インデックス×社債で完全FIRE)

SBI証券のWEBサイトを見ていると、「超巨大企業のイオン株式会社の社債、利率が約3%で出る」との情報が出ています。

最近、メガバンクの定期預金金利が少し上がったとはいえ0.8%程度(満期7年)の時代に、3%台の利回りは非常に魅力的ですよね。

とはいえ、いざ申し込みするとなると、「本当に買っても問題ないの?」と迷いが頭をよぎるはずです。

結論から申し上げますと、今回のイオン債は「最終的な利回りが3.1%を超えてくるなら、検討の余地は十分にある」商品だと感じています。しかし私自身は、今回はあえて「見送り」という判断をしました。この記事では、その判断に至った理由を、過去に大手GMS(=総合スーパー)の社債がデフォルトした「あの事件」の記憶も交えながらお話ししていきます。

今回は、過去の教訓から社債の「信用リスク」をどう測るべきか、そして「金利上昇局面における債券投資のセオリー」について、私のリアルな判断基準を包み隠さず解説します。

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イオン株式会社 第31回無担保社債の概要とメリット

まずは商品のスペックを確認しておきましょう。SBI証券が案内している「イオン株式会社第31回無担保社債(社債間限定同順位特約付)(個人向け)」の概要は以下の通りです。

項目内容
商品名イオン株式会社第31回無担保社債(社債間限定同順位特約付)(個人向け)
期間7年
利率(仮条件)年2.700%~3.300%(税引前) 
正式な利率は、8/7(金)に利率が決定します。
申込単位100万円以上、100万円単位
取得予定格付A-(R&I)
申込期間(予定)2026/8/10(月)10:00 ~ 8/27(木)14:00

詳細:SBI証券「イオン株式会社第31回無担保社債(社債間限定同順位特約付)(個人向け)」

商品名にある「無担保社債」とは、土地や設備などの担保を伴わず、発行体の信用力だけを裏付けに発行される社債のことです。また「社債間限定同順位特約付」とは、今後イオンが新たに無担保社債を発行した場合でも、返済順位(弁済順位)は今回の社債と同等に扱われる、という投資家保護の特約のことを指します。つまり、後から出てくる社債に優先的に返済されてしまう心配は少ない、という仕組みです。

ですので、債券としては、ごくごく一般的な社債であるといえます。

個人向け国債との比較

ちなみに、「個人向け国債(変動10年)」の直近の利率は約1.80%です。(2026年7月時点)
※参考:財務省 | 変動10年(第196回)の発行条件

これらと比較すると、イオン債の2.700%~3.300%という数字は圧倒的に高く見えますね。もしかすると、「こんなに高い利回りには、何か裏があるのでは?」と疑うかもしれません。

しかし結論から言うと、これはA-格の社債として市場の平均実勢に即した「真っ当で適正な条件」です。無理なプレミアム(上乗せ金利)が乗っているわけではなく、リスクに見合った妥当な値決めだと思います。

イオンと聞いて思い出す「マイカル債」の破綻。だが現在のイオンは「倒産リスク極小」と言い切れる理由

さて、ここで少し昔話をさせてください。

イオンと聞いて、投資歴の長い私のような人間がどうしても思い出してしまうのが「マイカル」の存在です。50代前後の方ならご記憶にあるかもしれませんが、かつてはダイエー、イトーヨーカドー、ジャスコ(イオン)、マイカルが「GMSの4強」と言われていました。田舎の私の実家の近くにもジャスコやダイエーがあり、子供の頃は週末によく買い物に連れて行ってもらったものです。

ところが2001年、マイカルは突如として経営破綻しました。負債総額は約1兆9,000億円にのぼり、当時、流通業としては戦後最大の倒産として大ニュースになりました。マイカルが発行していた社債(マイカル債)の未償還残高は約3,500億円で、こちらも当時としては過去最大規模の社債デフォルト(債務不履行)となっています。

マイカルの格付けは、破綻に向けた数ヶ月〜半年ほどの間に急速に格下げされていきました。国内の格付け機関の中には、直前まで「投資適格(BBB以上)」にとどめていたところもあったのです。ところが2001年に入り資金繰り懸念が表面化すると、半年ほどの間に「B+」や「CCC」といった投機的格付け(いわゆるジャンク級)へと4段階以上も一気に引き下げられ、そのまま9月14日の民事再生法申請(デフォルト)に至りました。

多くの個人投資家が、日本の「投資適格」というお墨付きと高い利回りを信じて購入し、結果的に社債がデフォルトして大きな損失を被りました。これが社会問題となり、国も動いて格付け会社の運用が厳格化されるきっかけになったのです。

ちなみに、当時GMS4強であったダイエーも、マイカルと同様にイオンに吸収されてしまいました。

現在のイオンが安全な理由

「じゃあ、今回のイオン債も危ないのでは?」と不安になった方もいらっしゃるかもしれません。しかし現在のイオンについては、その心配は無用(倒産リスクは極小)だと私は考えています。

かつてのマイカルのような単なる小売業とは異なり、現在のイオンは「総合金融」や「イオンモールなどの不動産開発」など複合的で強固な収益基盤を持つ、巨大な生活インフラ企業へと姿を変えています。

絶対に潰れない企業はありません。それでも、今回のA-という格付けと、イオンの盤石な事業基盤を信じて資金を預けること自体は、十分に合理的な判断だと言えます。

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資産2億FIRE民がイオン債を「見送り」にする理由(金利上昇リスクと債券のセオリー)

では、安全性が高く利回りも良いこの社債を、なぜ私は買わないのか?

日本証券業協会が発表している公社債店頭売買の参考統計値を見ると、今回のイオン債と同等の条件である、7年・A格付けの現時点の利回りは「3.119%」です。(2026年7月26日時点)
※参考:日本証券業協会 | 公社債店頭売買参考統計値

結論として、最終的な条件決定で今回のイオン債が3.1%を超えてくるようであれば、十分に検討の余地はあると考えます。

ただ、個人的には「7年」というのがちょっとネックでした。これから日銀の金融政策などを背景に金利上昇局面がまだしばらく続くと予想されるので、基本は短期の債券を買うのがセオリーです。

理由は単純で、長く資金を拘束されると、後からもっと良い条件の債券が出てきたときに乗り換えられなくなるからです。また途中で資金が必要になって売却しようとしても、金利上昇局面では債券価格が下落しており、元本割れのリスクを負うことになります。

「でも預金よりはマシだから、買ってもいいのでは?」という考え方もあるでしょう。実際その通りだと思います。ただ私の場合は、資産の中でも機動的に動かせる部分をできるだけ確保しておきたいという思いが強く、今回は短期の商品や待機資金として機動力を優先しました。だからこそ、私は今回の購入を見送る決断しました。

今回のイオン社債を買うべき人・見送るべき人(債券バケツの活用法)

私自身は見送りますが、決してこの商品を否定しているわけではありません。

むしろ、投資スタイルや資金の性質によっては非常に優秀な投資先になります。

セオリーとしては短期債券を推奨しますが、常に金利動向をチェックして、数年ごとに債券を細かく買い替えるのは面倒だ、という方もいるでしょう。

もしあなたのポートフォリオの中に、5~10年くらいは絶対に使う予定がない資金(債券用のバケツ)があるのなら、このイオン債は非常に有力な選択肢になると思います。イオンの事業基盤の安定性を踏まえれば、7年間ほったらかしにしておいても、定期預金を大きく上回るリターンを確定させながら、安心して資金を眠らせておける優秀な投資先になってくれるはずです。

私自身は、資金を「短期=現金」「中期=債券」「長期=株式」の3つのバケツに分け、さらに中期バケツの中では償還時期をずらして保有する「債券ラダー戦略」を実践しています。今回のように「買う」「見送る」という個別の判断も、このラダー戦略という大きな設計図のなかに位置づけて考えるようにしています。

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まとめ:投資は「自分の資金のタイムリミット」を知ることから

今回のポイントをまとめます。

  • イオン第31回無担保社債は、期間7年・A-格・利回り仮条件2.7〜3.3%の真っ当な商品。
  • 過去のマイカル破綻の教訓はあるが、現在の複合企業イオンの倒産リスクは極小。
  • 私は「金利上昇局面では短期債券を狙う」というセオリーに従い、7年の資金拘束を嫌って「見送り」。
  • 一方で、5〜10年間使わない余裕資金を「ほったらかし」で運用したい人には最適。

社債投資では、発行体のリスクだけでなく、「その資金をいつ使う予定なのか」という自分自身のタイムリミットを把握することが、実はいちばん大切なことなのかもしれません。まずはご自身の資産のうち、5年以上は使う予定のない「中期のバケツ」の資金がどれくらいあるか、あらためて家計を見直してみるのもいいきっかけになると思います。


※本記事は特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任においてお願いいたします。

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【筆者:モンチ プロフィール】
資産2億でFIRE達成。投資歴25年の元サラリーマン投資家です。
インデックス投資で資産を作り、現在は「社債」で守りを固めています。👇
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