国民年金は全額免除すべき?FIRE民の損益分岐点【2026年最新】

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 著者:モンチ(投資歴25年・運用資産2億円/インデックス×社債で完全FIRE)

FIRE達成後や早期退職後、「収入が激減するのに、国民年金の支払いが重い……。いっそ免除にしたほうがいいのだろうか?」と悩んだことはありませんか?

会社員時代は給与天引きでほとんど意識していなかった保険料ですが、収入がゼロ、もしくは激減した状態で自分で払うとなると、その重さを痛感しますよね。

しかも役所に行けば「免除できますよ」とあっさり言われることもあり、じゃあ免除しちゃえばいいのでは、と思うのが自然な感情です。

この記事では、国民年金の裏側にある「給付の50%は税金」というルールや、「免除と納付の損益分岐点」について、具体的なシミュレーションを交えて解説します。

この記事を読めば、以下の3つがわかります。

① 国民年金の裏側にある「税金投入ルール」
② あなた自身の寿命を軸にした「免除か納付か」の合理的な判断基準
③ 私が損得抜きで全額納付を選んだ理由

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早期退職(FIRE)直後は国民年金の「全額免除」を受けやすいって本当?

まず知っておいてほしいのは、早期退職直後のFIRE民は、国民年金の全額免除の審査に非常に通りやすいという事実です。
※参考:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」

通常、国民年金の免除審査は「前年の所得」を基準に判定されます。会社員時代にそれなりの収入があった方は「自分は高収入だったから免除なんて無理だろう」と思うかもしれません。

ですが退職者には「離職特例」という制度があり、離職票などの書類を提出することで、本人の前年所得はゼロとみなされます。つまり、前年いくら稼いでいたかに関係なく、退職した瞬間に免除審査を申請することができるのです。

実際、私が早期退職後に役所へ国民年金の切り替え手続きに行ったとき、窓口の担当者から開口一番、こう聞かれました。

「離職でしたら、免除申請しますか?」

この一言にはハッとさせられました。「え、いきなり100%免除ってできるの?」と。

免除を受ければ年間約21万円の現金流出を防げるため、一瞬だけ心が揺らぎました。

その場で「はい」と即答してもおかしくない状況でしたが、私はあえて免除を選びませんでした。理由は後述しますが、年金を「老後の保険」として捉え直していたからです。

国民年金のリアルな仕組み:給付の50%は「税金」でできている

免除するかどうかを判断する前に、国民年金がどういう仕組みで成り立っているのかを整理しておきましょう。

実は国民年金は、私たちが払う保険料だけで成り立っているわけではありません。
平成21年度から、基礎年金の給付費の半分(50%)には国庫負担、つまり税金が投入されるルールになっています。
参考:厚生労働省|基礎年金国庫負担割合2分の1の実現について

具体的な数字で見てみましょう。

国民年金保険料は月額17,920円です。これを40年間(480ヶ月)払い続けると、自己負担の総額は約860万円になります。

しかし、実際はその裏で同額の税金が投入されています。

つまり、税金投入分も含めた「社会全体の実質的なコスト」で考えると、その2倍の約1,720万円が年金原資として積み立てられている計算になります。

ちなみに、満額の年金受給額は年額84万7,300円です。

この実質コスト約1,720万円を年金として回収するには、単純計算で約20.3年かかります(1,720万円 ÷ 84.7万円 = 20.3年)。

このように、「給付の50%は税金で賄われているため、実質的な価値は自己負担額の2倍になる」というのが国民年金の正体です。この前提を頭に入れておくと、免除制度の見え方がガラッと変わってきます。

100%免除は本当にお得?投資効率は「無限大」だが…

さて、ここからが本題です。

仮に保険料を1円も払わなくても、全額免除が認められれば、その期間は「保険料の半分を納めた」とみなされ、将来の年金は半額もらえます。

つまり、全額免除を受けた期間の保険料の支払いは「0円」ですが、将来もらえる年金額は「ゼロ」にはなりません。国庫負担分である「50%」は納めたものとして計算され、通常の半額分の年金を受け取る権利が発生するのです。

「0円の投資で将来のリターンが発生する」わけで、表面上の投資効率で言えば「無限大」です。手元の資金を減らしたくないFIRE達成者にとっては、喉から手が出るほど魅力的な制度に見えます。

ただし、ここで冷静になる必要があります。

この「お得さ」の正体は、私たちが普段から税金という形で負担している保険料の半分を、単に受け取っているに過ぎないという見方もできるからです。

ちなみに、ここで強く押さえておいてほしいポイントがあります。

それは、「免除」と「未納」はまったくの別物だということです。免除は届け出をして正式に認められた猶予ですが、未納は単に払わずに放置している状態を指します。そして、やってはいけないのは、年金を単に納めないこと。

未納にしてしまうと、この税金分の受け取り権利ごと消滅してしまいます。つまり、未納期間の分は、税金を取られ損になりますよ、というのが私からの率直なアドバイスです。免除の申請さえしておけば救われる権利を、手続きを面倒くさがるだけで失ってしまうのは、あまりにもったいない話です。

【シミュレーション】国民年金の全額免除 vs 全額納付、損益分岐点は何歳?

では、全額免除の特例を使って「1年間免除」した場合と、「全額納付」した場合、純粋な受給額の損益分岐点は何歳になるのでしょうか?

ここでは1年間のケースでシミュレーションしてみました。

  • 支払額の差
    1年間全額納付すると、支払額は約21.5万円(年額215,040円)。
    免除なら0円です。
  • 将来の受給額の差
    1年間全額納付した場合と、免除(半額受給扱い)した場合の将来もらえる年金額の差は、年間10,591円(満額84万7,300円の40分の1の半額)となります。

つまり、「今のうちに21.5万円を余分に払って、将来毎年10,591円を多くもらう」という構図です。

この差額を取り戻すには、215,040 ÷ 10,591 = 約20.3年かかります。

原則65歳から受給を開始したとして、85歳3ヶ月まで生きれば元が取れ、それ以降は長生きするほど得をする計算になります。

50歳時点での平均死亡年齢は、男性が約83歳、女性が約88歳と言われています。

これを当てはめると、男性の平均的な寿命なら「免除のほうがお得」に見えますし、女性なら「納付したほうがお得」になりやすいと言えます。

つまり、免除しようともきちんと納めようとも、ほぼ損得がないという、実は非常に優れた設計になっていることが浮かび上がります

身も蓋もない言い方をすれば、長生きすればお得だし、早く死ねば払わないほうがお得。これが損得勘定だけで見た国民年金の実態です。


※本記事のシミュレーションは、令和8年度(2026年度)の国民年金保険料(月額17,920円)および満額受給額(年額847,300円)をもとに計算しています。金額は毎年度変動するため、最新情報は日本年金機構のHPをご確認ください。

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【結論】私が「損得抜き」で全額納付を選んだ理由

ここまでのシミュレーションを踏まえたうえで、私は損益分岐点がどうであれ、全額納付を選びました。理由はシンプルです。

私は年金を「もらう額を最大化するための投資」ではなく、「長生きしてしまったときのための保険」だと考えているからです。

FIREを達成して「攻め」から「守り」の運用へ切り替えた今、私が最も恐れているのは資産運用の失敗ではなく、想定より長生きして資産が尽きてしまう「長生きリスク」です。3つのバケツ戦略や債券ラダー戦略でどれだけ守りを固めても、一生涯受け取れる保証があるのは公的年金だけで、自分の資産だけでこのリスクを完全にカバーするのは難しいと感じています。

損益分岐点で計算上は損をするかもしれない。それでも構わないと思っています。なぜなら、早く死んで保険料を「掛け捨て」にしてしまうリスクよりも、老後に資金が尽きてしまうリスクのほうが、私にとってはるかに恐ろしいからです。

実際問題、死んでから「年金もらい損ねた」と後悔することはないですからね(苦笑)。

まとめ:年金は投資ではなく「長生きリスクへの保険」

今回お伝えしたポイントを整理します。

  • 早期退職直後のFIRE民は「離職特例」により全額免除の審査に通りやすい
  • 国民年金は給付費の50%が税金(国庫負担)で賄われている
  • 損益分岐点は約20.3年後(85歳3ヶ月)。長生きすれば納付が得、早く亡くなれば免除が得という計算になる
  • ただし「未納」だけは絶対に避けたい。税金分の受給権利を丸ごと失うことになる
  • 私は年金を「投資」ではなく「長生きリスクへの保険」と位置づけ、損得抜きで全額納付を選択した

数字だけ見れば免除のほうが有利に見える場面もありますが、最終的にどちらを選ぶかは、ご自身がどこまで「長生きリスク」を重く見るか次第だと思います。

PS
皆さんは、国民年金の免除制度、使いましたか? それとも私と同じように、あえて全額納付を選びましたか? ぜひコメント欄で、皆さんの判断とその理由を教えてください。

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