この11月に長年の目標だったFIRE(早期リタイア)を達成し、間もなく2か月が経過します。
今の気分ですか?
正直、最高です。
最近のマイブームは、なんと「朝早く起きてゴミ出しをすること」。
「せっかくリタイアしたのに早起き?」と思われるかもしれません。でも、これには深い理由があります。
マンションの廊下ですれ違う住人の方と「おはようございます」と軽く挨拶を交わし、ゴミ捨て場から戻る道すがら、駅に向かって足早に通勤するスーツ姿の人たちを眺める……。
その時、思わず「ニッタリ」と微笑んでしまう自分がいるのです。
「ああ、私はもうあの中に行かなくていいんだ」という圧倒的な解放感。今は毎日が日曜日のようで、ドーパミンが出まくっているのを感じます。
でも、この最高の気分の裏で、ふと「一抹の不安」もよぎるのです。
この高揚感はいつまで続くんだろう? この先、何か落とし穴が待ち受けているんじゃないか?
そこで今回は、リタイア後の心理変化についての「一般論」を調べつつ、私のFIRE生活が失敗しないよういろいろと検討してみました。
FIRE後の心境はどう変化するのか?(一般論)
今は解放感で一杯ですが、先人たちの知恵や心理学の研究によると、リタイア後の心境はずっと右肩上がりではないそうです。
心理学者のロバート・アッチリーが提唱した「リタイアメントの段階説」などによると、一般的にリタイア後の心は以下のように推移すると言われています。
1. ハネムーン期
- 状態: まさに今の私です。「自由だ!」「何でもできる!」という解放感に満たされた時期。
- 特徴: 旅行に行ったり、のんびりしたり、「通勤しなくていい」という事実に喜びを感じます。
2. 幻滅期
- 状態: ここが一番の壁だそうです。
- 特徴: 自由な生活が「日常」になり、飽きがきます。「毎日が日曜日」の楽しさが薄れ、「この生活があと30年続くのか?」「自分は社会の役に立っていないのでは?」という虚無感や退屈に襲われる時期です。
3. 方向転換期
- 状態: 試行錯誤の時期。
- 特徴: 「このままではいけない」と気づき、新しい趣味や活動、社会との関わり方を模索し始めます。
4. 安定期
- 状態: 新しい日常の確立。
- 特徴: 自分なりのペースを掴み、穏やかな満足感を得られるようになります。
この理論を知って、私は、「今の「ニッタリ」している期間は、あくまで一時的な「ハネムーン」に過ぎない。遠くない未来、必ず「幻滅期(退屈や不安)」がやってくる」のではないかと思いました。
FIRE失敗の原因を洗い出してみた(プレモータム)
今後、幻滅期が訪れた時にそなえて、「プレモータム」という手法を使って考えてみました。
これは、プロジェクト開始前や実行中に、その計画が「絶対に失敗した」と仮定し、未来から「なぜ失敗したのか」という原因を逆算して分析し、事前にリスクを潰して成功確率を高める思考法・手法とのことです。
仮説:5年後の2030年、私はFIRE生活に後悔している。なぜか?
未来の自分になりきって、失敗原因を考えてみました。
金銭面の原因:「想定外」の連続による破綻
まずはFIREにおける定番のリスクから見ていきます。
- 原因A:魔の「シークエンス・オブ・リターン・リスク」直撃
リタイア直後の最初の2年間に株価の大暴落が起きたら……。生活費のために安値で資産を取り崩さざるを得ず、元本が回復不能なほど激減。資産寿命が予想より20年も縮まってしまうという悪夢のシナリオです。 - 原因B:インフレと円安による「隠れ貧困化」
年4%の運用益は出ているが、物価上昇が年3%続き、実質的な利益はほぼゼロ。輸入品やエネルギー価格の高騰で、現役時代よりも惨めな節約生活を強いられる……。「自由」ではなく「欠乏」を感じる毎日になってしまいます。 - 原因C:社会保障費・税金の読み甘さ
会社員時代は天引きで気づかなかったが、住民税、国民健康保険料、国民年金の支払いが想定以上に重い。特に前年の所得ベースで計算される1年目の負担で貯蓄がガリッと削られてしまいます。
幸いなことに、これらの金銭面のリスクについては、綿密にシミュレーションを重ねてきました。「現金クッション」の確保や、税金・社会保障費の詳細な試算まで、かなりの時間をかけて計画を練り上げています。
しかし、シミュレーションを深めるうちに、お金以上に切実な問題が浮かび上がってきました。
精神面の原因:「自由」の副作用
- 原因D:ドーパミン不足による「退屈地獄」
最初の半年は旅行やゲーム三昧で最高の日々。しかし人間の脳は恐ろしいもので、すぐに快楽に順応するそうです。毎日が日曜日のような状態で曜日感覚もなくなり、「今日一日、誰とも話さず何もしなかった」という虚無感に襲われる……。
脳科学的に言えば、達成感のない日々が続くと、やる気の源である「ドーパミン」が枯渇し、うつ状態に陥るリスクが高るらしいです。 - 原因E:アイデンティティの喪失、ただの無職の人
新しいコミュニティで「お仕事は何を?」と聞かれて答えに窮する場面。肩書きや社会的信用がないことで、自分自身の価値がなくなったように感じてしまう……。
これは単なる虚栄心の問題ではありません。人間は社会的な存在であり、「社会における自分の役割」を失うことは、想像以上に精神に負荷がかかると考えられます。
人間関係の原因
- 原因F:家族関係の悪化
自分が一日中家にいることで、妻の生活リズムを崩してしまう。「一日中家にいて邪魔」「家事もしないのに口だけ出す」と疎まれ、最悪の場合、熟年離婚を突きつけられる……。
FIRE達成者の中には、この「家庭内失業者」問題で苦しむ人が少なくないそうです。 - 原因G:近所での孤立と社会との断絶
私は今年の夏に今の場所に引っ越してきたばかりで、近所に知り合いがいません。妻とは毎日話しますし、地元の友人とは定期的にオンライン飲み会をしています。
ただ、家族以外でリアルな生活圏で誰とも話さない日々が続くと、社会との接点が薄れていく……。特に妻が外出している日は、丸一日誰とも対面で会話しないこともあり得ます。
今更ながら、お金の計算は完璧にしても「心の計算」と「関係性の計算」が甘かったことに気づきました。
FIRE後のメンタル防衛術
「じゃあ、無理して近所に友達を作るべき?」
「再就職するべき?」
私は人付き合いが得意という感じではありません。いきなり近所で深い関係を築くのはハードルが高すぎます。そこで、自分の性格に合った3つの対策を立てました。
ブログを新しい「名刺」にする
「無職です」というのでもいいですが、「ブロガーです」「WEBライターです」と言えるようになればいいかもしれません。
また、直接人と会うのは疲れますが、ネットを通じて誰かに記事を読んでもらい、「参考になった」などの反応をもらうことは、立派な承認欲求を満たす手段だと思ってます。
地元の友人は「オンライン」で、近所は「薄い繋がり」で
私には友人がいないわけではありません。地元の友人とはオンラインで繋がっていますし、それで十分楽しいです。ただ、物理的に住んでいるこの街には知り合いがいません。
社会学には「弱い紐帯の強み」という理論があるそうです。
これは本来、仕事探しなどで役立つ理論ですが、実はメンタルヘルスにおいても重要です。近所に親友を作らなくても、カフェの店員さんやマンションの住人と「挨拶する程度の関係」があるだけで、人は孤独のリスクを回避できるとのことです。
そう考えると、今の私のマイブームである「ゴミ出し時の挨拶」は、理にかなっていたわけです。無理に深入りせず、この「挨拶だけの関係」を大切にしようと思います。
あとは、行きつけの飲食店を探したいですね。
「朝日」と「小さなタスク」で脳を騙す
脳科学的に見ると、今後訪れるであろう「幻滅期」のなんとなくやる気が出ない状態は、脳内物質のバランスが崩れることで起きるそうです。
これを防ぐために、私の「早起きゴミ出し習慣」も有効な手段になりそうです。
- セロトニンで「心の安定」を確保する
- 科学的根拠: 人間のメンタル安定に不可欠な脳内物質「セロトニン」は、「朝、網膜に太陽の光が入る」ことと「ウオーキングのようなリズム運動」によって分泌されるとのことです。
- 対策: 用事がなくても朝決まった時間に起きて、ゴミ出しで外に出て朝日を浴びる。これだけで、脳は「活動モード」に切り替わり、メンタルが物理的に安定します。
- ② ドーパミンと自己効力感で「虚無」を防ぐ
- 科学的根拠: 人間は何かを達成した時に、やる気の源である「ドーパミン」が分泌されます。「何もしなくていい自由」は最初は天国ですが、達成感がない状態が続くと脳はストレスを感じるとのことです。
- 対策: 「今日はブログを書く」「ゴミ出しをする」など、小さなタスクを1つだけ設定してクリアする。あえてタスクを課すことで、脳に健全な報酬を与え続けるのです。
最後に
FIREは「ゴール」ではなく、新しい人生の「スタート」というのは、FIRE界隈での共通認識かと思います。
せっかく手に入れた自由を「幻滅期」で台無しにしないよう、「ブログ」(と「毎朝のゴミ出し」も)をベースにして、何か新しいことに挑戦してこの生活を楽しんでいこうと思います。



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