📚 このシリーズについて
このシリーズでは、50代で資産2億円を築きFIREを達成した私の実体験を公開します。2025年11月からの生々しい実感をお伝えします。
第1回:FIREの本当の目的とは?
第2回:FIRE直後に直面した3つの誤解と現実
第3回(本記事):FIRE後の資産を守る!バケツ戦略と債券ラダーの実践
第4回:FIRE前に準備すべきこと
FIRE後の資産運用は「攻め」から「守り」へ完全シフト
2025年11月にFIREを達成した私は、20年以上にわたり資産運用を続けてきました。
投資の最初のころは個別株の短期売買やFXなども行ってきましたし(あまりうまくできなかった)、そのあとはインデックス運用に出会い、私にピッタリな投資方法でした。
いずれの時期も会社員時代は「攻めの運用」——普段の支出の6か月分を確保して、残りは全力投資という手法で資産を増やすことに注力していました。リーマンショックの時はかなり精神的にへこみましたが、そこでも退場せずに投資の市場に残れたことが、今の資産形成につながっています。
しかし、FIREを考え始めたころから、運用方針は大きく変わりました。
実際に会社を辞めるとは考えていなかったのですが、現在の資産でどのくらいの生活ができるのかということを考え始めて、ライフプランを真面目に考え始めました。
そしてライフプラン表などをその時々でわかる最新の数字(年金額とか退職金とか生活費とか)を使い、何回も作成するようになりました。そうすると必要な額や、どのくらいのリターンで投資すればいいかなどもわかってきます。私の場合、現在の生活基準であれば、インフレ率と同じくらいのリターンがあれば問題ないということがわかりました。
もちろんお金はあって困るものではないのですが、全力で攻めて投資する必要がないということがわかり、運用方法を再検討し始めました。
第2回の記事でお伝えしたように、FIRE後は「資産があっても不安が消えない」という心理状態に陥りがちです。この不安を軽減するには、市場変動に動じない守りの資産運用戦略が不可欠です。
この記事では、FIRE達成後に採用した2つの戦略 — バケツ戦略と債券ラダー戦略について、具体的に解説します。
FIRE最大の敵「シーケンス・オブ・リターン・リスク」とは?
会社員時代とFIRE後の決定的な違い
会社員時代:
- 毎月給料が入る
- 株価が下がっても「長期投資だから」と気にしない
- むしろ下落は「買い増しチャンス」
FIRE後:
- 給料はもう入らない
- 資産=生活の糧
- 下落時に売却を迫られる可能性
この違いを考えずに、会社員時代と同じ「攻めの運用」を続けると、市場暴落時に精神的に非常につらい思いをすることになります。
暴落が「初期」に来ると資産は枯渇する
FIRE後の最大のリスクは、「シーケンス・オブ・リターン・リスク」です。
つまり、
FIRE直後というタイミングに市場が暴落すると、その後の資産寿命が大幅に短くなる
というリスクです。
よくFIRE界隈では4%ルールというトリニティスタディの話がありますが、その中にも言及されています。
具体例:
| ケース | FIRE直後5年間 | その後の市場 | 結果 |
|---|---|---|---|
| A | 好調(+10%/年) | 暴落(-20%) | 資産は十分持つ |
| B | 暴落(-20%) | 好調(+10%/年) | 資産が枯渇する可能性 |
同じ平均リターンでも、FIRE直後に暴落がくると資産が枯渇する可能性が高くなります。
リタイア直後の不運な市場下落が資産枯渇を早めるリスクを避ける、あるいはその影響を最小限に抑えるための主な方法としては、最初から余裕を持った計画を立てることが有効ですが、私は、バケツ戦略を使って市場の影響を避けるようにしました。
暴落に動じない「バケツ戦略」の具体的な作り方

「バケツ戦略」について、もう少し詳しく解説していきます。これは、私のように定期収入がなくなったリタイア後の生活において、精神的な安定を保ちながら資産を運用するための非常に有効な考え方です。
一般的に、バケツは以下の3つに分けられます。
短期バケツ(1〜3年):心の安定剤
- 役割: 日々の生活費や、急な病気・災害に備えるお金。
- 中身: 現金、普通預金など、いつでも安全に引き出せるもの。
- ポイント: 株式市場が暴落しても「とりあえず2〜3年は大丈夫」と心に余裕が生まれます。「狼狽売りして損失を確定させてしまう」という最悪の事態を防ぐための最も重要な防波堤です。
中期バケツ(3〜10年):防波堤と補充役
- 役割: 数年先に予定している海外旅行や、車の買い替えといった大きな支出にも備えます。
- 中身: 安定性を重視しつつ、預金よりは高いリターンを目指せる債券や、リスクの低いバランス型投資信託などが適しています。
- ポイント: 市場が好調な時に、このバケツから利益が出ている部分を売却し、減ってきた第1のバケツに資金を補充する、という使い方が基本になります。
長期バケツ(10年以上):資産寿命を延ばすエンジン
- 役割: 将来のインフレに負けないよう、資産全体を大きく増やすことを目指します。
- 中身: 全世界株式やS&P500などのインデックスファンドなど、リスクを取って高いリターンを狙う金融商品が中心です。
- ポイント: ここは短期的な値動きに一喜一憂せず、どっしりと構えて長期的な成長の果実を待ちます。
【重要】バケツのリバランスとメンテナンス方法
このバケツ戦略は「一度分けたら終わり」ではなく、定期的なメンテナンスこそが成功の鍵と言えます。いわゆる、「リバランス」を定期的に行う必要があります。
リバランスは、上流のバケツ(長期)から下流のバケツ(短期)へ、滝のように資産が流れていくイメージを持つと分かりやすいです。
平常時のルール:上流から下流へ
- タイミング: 年に1回、年末など時期を決めて行います。
- 方法:
- 長期バケツ → 中期バケツへ: 長期バケツで得られた利益(値上がり益や分配金)の一部を売却し、中期バケツに移します。
- 中期バケツ → 短期バケツへ: 中期バケツの資産から、翌1年分の生活費を短期バケツに補充します。
これにより、短期バケツは常に一定額が満たされた状態をキープでき、安心して生活を送ることができます。
暴落時のルール:中期バケツで耐え忍ぶ
これができるかが成功のカギだと思います。
- 絶対にしてはいけないこと: 慌てて、損失が出ている長期バケツの資産を売却すること。
- 方法:
- 長期バケツからは補充しない: 長期バケツがマイナスの時は、無理に売却しません。回復するまでじっと待ちます。
- 中期バケツで耐える: 生活費は、短期バケツの残高と、比較的ダメージの少ない中期バケツの資産を取り崩してまかないます。
私も20年ぐらいの投資経験を経て、ようやく暴落時の耐性を身に着けられたと思いますが、この方法だと中期バケツという「防波堤」があるおかげで、数年間の下落局面であれば、長期バケツに手を付けずに乗り切れる可能性が高まります。そして、市場が回復した時に、長期バケツの資産が大きく反発する恩恵を最大限に受けることができます。
現金を枯渇させない「債券ラダー戦略」の組み方

債券ラダーとは?
債券ラダー戦略とは、満期の異なる債券を組み合わせて、毎年一定額が満期を迎えるように設計する方法です。
イメージ:
2,500万円分の債券へ投資する場合、毎年満期があるように購入する(5年分のラダー)
2026年満期:500万円
2027年満期:500万円
2028年満期:500万円
2029年満期:500万円
2030年満期:500万円債券ラダーのメリット
メリット1:毎年現金化できる
毎年500万円が満期を迎えるので、それを短期バケツに補充できます。株式を売る必要がありません。もちろん、すべてを短期バケツに補充する必要はなく、再度債券を買って次の段のラダーを組むということができます。
メリット2:金利変動リスクを分散
満期が分散しているので、金利が上がっても下がっても、影響は一部だけです。
メリット3:再投資戦略が柔軟
満期を迎えた500万円を、その時の金利環境や、短期バケツの状況に応じて:
- 新たに債券を購入(ラダーの更新)
- 短期バケツに充当
具体例:
2026年満期:500万円 →短期バケツ200万円へ補充、残りは債券300万円を買う
2027年満期:500万円 →短期バケツ300万円へ補充、残りは債券200万円を買う
2028年満期:500万円
2029年満期:500万円
2030年満期:500万円
2031年満期:300万円 ←2026年に買いなおした分
2031年満期:200万円 ←2027年に買いなおした分と柔軟に対応できます。
25年の投資歴でわかった「資産を守る」3つの心構え
1. リターンより安定性
会社員時代は、やみくもに全力投資という戦略を持っていました。
しかしFIRE後は、資産を減らさないことが最優先です。
私の場合はライフプラン表でシミュレーションした結果、
- 短期バケツ:元本保証(利回り0%でOK)
- 中期バケツ:年利1%(安定重視)
- 長期バケツ:年利3%(成長も狙う)
という目標を達成できれば、老後資産も維持できることがわかりましたので、無理のないポートフォリオを目指しています。
2. 定期的な見直しは必須
「バケツ戦略を作ったら終わり」ではありません。
年次メンテナンスが重要:
- 各バケツの残高確認
- リバランス(株式比率が高すぎたら調整)
- 債券ラダーの更新
- ライフプラン計画の見直し
私は年末年始に、1年間の総括とメンテナンスを行っています。
3. 柔軟性を持つこと
これは意外と見落とされがちですが、絶対的なルールに縛られすぎないことも重要です。
例えば:
- 市場が絶好調で長期バケツが急成長した場合、一部を利確して旅行に使うのもアリ
- 金利が急上昇したタイミングでは、債券ラダーの比率を増やすことも検討
- 健康上の理由で医療費が増えそうなら、短期バケツを厚めにする
機械的にルールを守るのではなく、状況に応じて柔軟に調整する余地を残しておくことで、精神的な余裕も生まれます。
まとめ:盤石な守備力こそがFIRE生活を豊かにする
FIRE後の資産運用で最も重要なのは、市場変動に動じない仕組みを作ることです。
バケツ戦略と債券ラダー戦略は、私が試行錯誤して採用した答えです。
この戦略により:
- 市場暴落時も慌てない
- 株価を毎日チェックしなくていい
- 精神的に安定する
FIRE後は「攻め」から「守り」へ。この意識転換が、FIRE成功の鍵になります。



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