【インデックス投資】投信の乗り換え(リレー投資)はNG?税金ロスと複利の罠を徹底検証

税金と複利の罠 投資の基本

 著者:モンチ(投資歴25年・運用資産2億円/インデックス×社債で完全FIRE)

昨日の記事では、「クレジットカード積立のポイント付与を利用し、古い投資信託から最新の超低コストファンドへ乗り換えるとお得」とお伝えしました。しかし、読者の方からコメント欄で非常に鋭いご指摘をいただきました。「乗り換え時に発生する税金のマイナスが大きすぎて、もらえるポイントではペイできないのではないですか?」というご指摘です。

クレカ積立でもらえるポイントはお得なので、乗り換えの結果としてポイントがもらえるのはありがたいことです。ただ、今回のご指摘をいただいて改めて気付いたのですが、ポイント確保を目的に無理に乗り換え(売却と再投資)をしてしまうと、結果的に損をする可能性が高く、本末転倒になりかねないと思いました。

今回は、ポイントやわずかな信託報酬の差を吹き飛ばしてしまう「税金と複利の関係」について、簡単な計算結果を示しながら、かつて推奨されていたファンドの乗り換え(リレー投資)が今でも有効なのかを記事にしていきたいと思います。

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15年前の常識は今の非常識?かつて「リレー投資」が推奨された理由

実は15年ほど前は、投資信託からETFへ乗り換える「リレー投資」は非常に合理的な戦略として、投資関連のブログやマネー関連の雑誌でもよく取り上げられる王道の手法でした。

当時の投資信託は、信託報酬が1%を切れば「優良ファンド」と呼ばれる時代でした。インデックスファンドで「すごい」と言われていたものでも、国内株式で0.5%、国外株式で0.7%ぐらいでした。そのため、ある程度資金が貯まった段階で、圧倒的に維持コストの安いETF(信託報酬0.1%程度)に乗り換えるメリットが非常に大きかったのです。

過去のブログで「私のリレー投資(2008-03-10公開)」でも書いていますが、実は私も昔よりリレー投資を実践していました。

インデックス派の投資手段の1つとして、
 1.毎月積立(インデックスファンド)
 2.1がある程度積み上がったところで、運用コストの低いETFなどに乗り換え
というリレー投資があります。

この方法だと、ドルコスト法の良い部分と、大口だとメリットを受けやすいETFの良い部分を両取りすることができます。

私もこの方法を利用していますが……少しだけアレンジがあります(というほどのものでもないのですが(^^))

小金持ち父さんの資産設計塾:私のリレー投資より

2008年当時、私はT&Dのアクシアや朝日ライフのAvest-Eなど、モーニングスターで5つ星を取るようなアクティブファンドも保有していました。もっと昔は、毎月分配ファンドの先駆けである「グロソブ」なども保有していました(笑)。

その際、手数料が安くなるキャンペーンやキャッシュバックを狙ってETFへ資金を移動させつつ、成績の振るわないファンドを解約して、リレー投資の資金に充てていました。新陳代謝のように自動的にファンドを整理できることを、当時は得意げに語っていました。自分なりのこだわりを持って投資を楽しんでいた、なんとも懐かしい時代です。

現代のインデックス投資で「乗り換え」がNGな明確な理由

かつて正解だったリレー投資ですが、現代の極限まで手数料が下がった投資環境でも有効なのでしょうか?

現在、eMAXIS Slimシリーズなどに代表されるように、優良なインデックスファンドは信託報酬が0.1%未満の世界に突入しています。かつてのようなETFとのコスト差は、ほぼ消滅してしまいました。

よって、信託報酬が0.01%安いからといって乗り換えるというのは、ほとんど意味がないばかりか、むしろ自身の資産形成に強烈なブレーキをかけてしまうことになります。

【シミュレーション】最大の罠「含み益への課税」が複利を殺す

元本10万円、年利5%、税率20%(計算しやすいように)という条件で、「10年目で乗り換えてさらに10年運用したケース」と、「最初から20年間ホールドしたケース」の最終的な手元資金を比較してみました。

結論から言うと、最終的な利益には6,328円の差が生まれ、20年間ホールドした方が有利になります。
それぞれの計算プロセスは以下の通りです。

パターンA:10年目でリレー投資(売却・税引き後に乗り換え)

10年経過時点で一度すべて売却し、税金を払ってから新しいファンドへ全額再投資し、さらに10年(合計20年)運用します。

【前半の10年】

  • 10年目の評価額:約162,889円(利益62,889円)
  • 10年目の税金:-12,577円
  • 乗り換え時の元本:150,312円(税引き後の手元資金)

【後半の10年】
目減りした150,312円を元本として、さらに10年複利運用します。

  • 20年目の評価額:約244,842円(利益94,530円)
  • 20年目(最後)の税金:-18,906円
  • 最終的な手元資金:225,936円(トータル純利益:125,936円)

パターンB:20年間ホールド(最後に一括売却)

途中で一切乗り換えを行わず、20年間そのまま複利運用し続けます。

【20年目まで】
途中で税金が引かれないため、10万円がまるまる20年間複利で転がり続けます。

  • 20年目の評価額:約265,330円(利益165,330円)

【売却時の税金】
最後にまとめて20%の税金がかかります。

  • 20年目(最後)の税金:-33,066円
  • 最終的な手元資金:232,264円(トータル純利益:132,264円)

シミュレーション比較のまとめ

項目リレー投資(10年目利確20年ホールド
1〜10年目の利益62,889円62,889円
10年目に払う税金-12,577円
(10年分の利益に課税)
0円
(払わずに先送り)
11年目に運用するお金150,312円162,889円
11〜20年目の利益94,530円102,441円
20年目(最後)の税金-18,906円
(10年分の利益に課税)
-33,066円
(20年分の利益にまとめて課税)
最終的な手元の利益125,936円132,264円

いかがでしょうか。一見すると、ホールド派は最後に2倍近い税額を一括で支払うことになり、「税金で大きく持っていかれる」ように感じるかもしれません。しかし、それでも最終的な手元の利益はホールド派の方が6,328円多くなります。これは、税金を先送りした分のお金(150,312円と162,889円の差額、約12,577円)が、後半の10年間も働き続けてくれた複利効果によるものです。

税金ロスを取り戻すには?高すぎる「0.4%の壁」

では、税金として失われた運用資金のダメージを、新しいファンドの「信託報酬の低さ」だけで取り戻すことはできるのでしょうか。

先ほどの10年目で乗り換えたケースで生じた6,328円のビハインドを、後半10年間で取り戻すためには、新しいファンドの信託報酬が古いファンドよりも年間で約0.4%以上低く設定されている必要があります。もし現在の含み益がもっと大きかったり、残りの運用期間が短かったりする場合には、この「0.4%」というハードルはさらに高くなります。

信託報酬0.1%未満が当たり前になった現代において、0.4%以上のコスト差をつけることはほぼ不可能です。つまり、数字から見ても「乗り換えは損」という結論になりそうです。

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【例外】今すぐ損切り・乗り換えすべき「ぼったくりファンド」の条件

ただし、すべてを思考停止でホールドすれば良いというわけではありません。例外として、今すぐ「損切り・乗り換え」を検討したいファンドも存在します。

それは、信託報酬が1.0%を超えるような、旧来の銀行窓口で売られているファンドなどです。これらは、先ほどの「0.34%の壁」を優に超えるコスト格差があります。過去に窓口で勧められるがまま買ってしまったような、手数料の高いファンドについては、税金を払って元本が一時的に減ったとしても、最新の低コストインデックスに乗り換えたほうが、長期的には手数料削減の効果の方が確実に勝るのではないかと思います。

一方で、信託報酬が0.3%程度の「少しだけ古いインデックスファンド」くらいであれば、下手に動かさず、そのままホールドするのが正解になりそうです。

資産2億FIRE達成者の結論:50代からの「守り」は「動かない」が最強

50代で資産2億円のFIREを達成した現在の私としては、税金の支払いを最後の最後まで先送りにすることで複利の効果を最大化できるため、ファンドを買ったらあとはホールドしておくのが最も資産を増やしやすい方法だと感じています。

しかし、売買してもいいと思う例外があります。それがリバランスです

リバランスに伴う売却は「増えすぎた資産の一部」を売るだけであり、売買する部分については、あまり含み益を持っていないことが多いものです。よって、前述のリレー投資(乗り換え)とは異なり、税金の影響は限定的だと考えています。リバランスによる税金は、自身のポートフォリオを暴落から守るための「必要経費」として、納得して払えるものではないでしょうか。それ以外のときは、本当に必要になる最後の日まで売らず、心穏やかに過ごすのが一番だと思っています。

さいごに

今回のシミュレーション検証を通じて、私自身も投資の基本を改めてアップデートすることができました。

本日のまとめです。

  • かつては正解だったリレー投資も、今は投信の低コスト化によりメリットがほぼ消滅していること
  • 信託報酬が1%を超えるような超高コストファンド以外は、むやみに乗り換えない方が良いこと
  • 基本は「ホールド」が最強だが、リスク管理のためのリバランスだけは躊躇なく行うこと

目先の利益や昔の常識に縛られず、今の環境に合った「動かない投資」で、着実に資産を守り育てていきたいと思います。きっかけとなるコメントをくださった読者様には、改めて深く感謝申し上げます。

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