著者:モンチ(投資歴25年・運用資産2億円/インデックス×社債で完全FIRE)
先日、5月18日の日経新聞のサイトで「一般人も資産1億円超え 『いつの間にか富裕層』のお金のつくり方は」というタイトルの記事を見かけました。
※参考:日本経済新聞社:「 一般人も資産1億円超え 「いつの間にか富裕層」のお金のつくり方は」
有料記事だったので中身までは確認していないのですが、この「いつの間にか富裕層」というキーワードが、どうも私の心に引っかかりまして。 ネットやSNSでも「インデックス投資を放置していたら、いつの間にか億り人になっていた」といった景気の良い話をよく目にします。
あまり資産運用などを行っていない層から見ると、「一部の運がいい人だけでしょ?」と、半分羨ましく、半分冷ややかに見ている方もいるような気もします。
少し気になった私は、AIの力も借りながらデータを引っ張り出し、「もし10年前(2016年)の1000万円をそのまま投資していたら、今どうなっているのか?」を検証してみました。
今回は、そのデータ検証結果と、過熱する相場の中で私たちが今学ぶべきかということを記事にしたいと思います。
「いつの間にか1億円」の正体は?資産爆発のトリガーは歴史的な「円安」
検証の結果からお伝えすると、「いつの間にか1億円」というのは、実際にありうる話でした。 過去10年間に市場にしがみつき続けた者に訪れた、ある意味で「必然」の結果です。
その資産爆発の正体は、「世界経済の成長」という要因に加えて、歴史的な「円安」という強烈なダブルパンチです。
2016年5月当時、為替レートは「1ドル=109円」前後でした。 それが直近では「1ドル=159円」前後で推移しています。
インフレとか実質購買力の低下などをいったん横に置いておいて、投資した金額の大小だけ考えると、ただ1000万円を「米ドルの現金」に両替してタンスにしまっておき、10年後に円に戻しただけで、評価額は約1460万円(+46.0%)に増えているということです。
「米国株の成長が凄い!」とよく騒がれますが、私たち日本人投資家にとっては、この「円の価値が崩落したこと」が、海外リスク資産の円建て評価額をさらに底上げする強力なブースターとして機能していたわけです。
【一撃でわかる】1000万を10年放置した結果!資産別・現在価値シミュレーションと今学ぶべき戦術
では、具体的に各資産に投資していた場合、10年前の1億円は今いくらになっているのでしょうか?

※海外株(オルカン)と米国株(S&P500)は「日本円に換算かつ配当込み」のデータ
※TOPIX(日本株)と東証REIT指数(国内不動産)は、「配当込み」のデータ
※ゴールドは日本円のデータ
【10年前の1億円 現在の評価額ランキング】
- 1位:米国株(S&P500) ⇒ 約5760万円(+476%)
- 2位:金(Gold) ⇒ 約5543万円(+454.3%)
- 3位:海外株(オルカン) ⇒ 約4910万円(+391%)
- 4位:日本株(TOPIX) ⇒ 約3280万円(+228%)
- 最下位:現金 ⇒ 1000万円のまま(0%)
いかがでしょうか。
2020年のコロナショックなどの大暴落を経てもなお、複利の効果と資本の成長スピードは圧倒的でした。 ただデータを眺めるだけでなく、現在運用中の方に向けて、ここから読み取れる教訓を整理してみましょう。
米国株(S&P500)の異次元リターン(5760万円)と「新NISAの買い方」
S&P500の年率平均リターンは約19.1%という驚異的な数値を記録しました。まさに王者の貫禄です。
これを見ると、「やっぱりS&P500が最強だ!新NISAの枠を使って、今すぐ持っている現金を一括投資しよう!」と鼻息を荒くする方もいらっしゃるかもしれません。 しかし、相場は常に波があります。過去のデータが未来を保証するわけではありません。
あと、過去に、「一括投資か、それとも毎月コツコツ積み立てるべきか。過去26年のデータを使ってシミュレーションした」という記事がありますので、焦って大きな資金を動かす前に、ぜひ一度こちらの検証記事を読んでみてください。
有事の金(ゴールド)の破壊力:1000万円が5200万円になった真実
田中貴金属工業の店頭小売価格(税込)データによれば、2016年5月の月次平均価格は1グラムあたり4,723円でした。これに対し、直近2026年5月7日の小売価格は26,181円に達しています。
10年ちょっとで価格は約5倍。1000万円分買っていたら、5200万円です。 「金は配当も利息も生まないから、投資先としては不適格だ」というインデックス投資の王道セオリーを嘲笑うかのような爆発力です。金がここまで上がった理由は以下がありそうです。
- 通貨価値の低下:世界中で中央銀行がお札を刷りまくった結果、通貨の価値が薄まり、発行上限が決まっている実物資産としての「金」に資金が逃避した。
- 地政学的リスクの高まり:ウクライナや中東など、緊迫化する世界情勢の中で「有事の金」としての需要が世界中の中央銀行や個人投資家から集まった。
日本株(TOPIX)の躍進と、日経平均最高値で40代・50代がやるべき「リバランス」
「失われた30年」と揶揄されることも多かった日本株ですが、アベノミクス以降の企業業績改善や円安の追い風を受け、実は10年間で3.2倍へと大健闘しています。
ただ、日経平均が史上最高値を更新し、「このまま6万円、10万円へ行くぞ!」とメディアが煽り始めると、どうしても警戒心よりも強欲さが勝ってしまいますよね。
こういう強欲さといった感情面が出てきたときは、特に冷静になる必要があります。こういう時こそ「もっともうけてやる」「さらなる買い増しを行う」等ではありません。増えすぎた株式の割合を元に戻す、機械的な「リバランス」です。私が過熱相場の中で相場を予想せず、どうやって資産を守っているかについては、以下の記事に書いています。
運が良かっただけ?50代で資産2億円FIREを達成した私の「地味すぎる」20年間
さて、ここまで景気の良い数字を並べてきましたが、私はボロ儲けしたわけではありません。
私は決して投資の天才でも何でもなく、ただの平凡なサラリーマンでした。 ITバブルの崩壊やリーマンショックで資産が半減するような恐怖を味わいながらも、ただひたすらに「市場から逃げ出さず、インデックスを握りしめて居座り続けただけ」なのです。
私の資産の伸びも、ならしてみれば年率換算で8〜9%程度です。 短期間でギャンブルのように増やしたわけではなく、20年以上という「時間」を味方につけて、複利の力で雪だるま式にコツコツと増やしてきたに過ぎません。
本当に地味な話で恐縮ですが、私がサラリーマン時代に「妻に内緒のお小遣い(笑)」を元手にして、愚直に20年間運用し続けた結果、約5,500万円にまで育った「隠し口座」のリアルな推移記録があります。 決して自慢できるような華麗なトレード履歴ではありませんが、「時間をかければ誰でも再現できる」という何よりの証拠として公開していますので、ご興味があれば覗いてみてください。
まとめと、次回の「恐ろしい話」
今回の検証で分かったことは、過去10年は「円安」と「資本の成長」の恩恵により、市場に居続けた人だけが資産を大きく増やせたということです。
これを聞いて、「投資をしておけば資産が5倍になったのは分かった。でも、現金で持っていれば1000万円は1000万円のまま減ってないんだから、それが一番メンタルに優しいし安全でしょ?」と思ったアナタ。
……実は、その考え方こそが一番恐ろしい罠なのです。
先ほどのランキングで最下位だった「現金(0%)」。 額面こそ1000万円のままですが、この10年間の日本のインフレ(物価上昇)により、実は実質的な価値が「約870万円」にまで目減りしているという事実があります。
次回の後編では、現金放置とインフレという点にスポットをあてて記事にします。 「安全だと思っていた現金が、実は一番のハイリスクだった」という事実をお伝えしますので、ぜひお楽しみに!
※本記事は特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任においてお願いいたします。





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