かつて独身時代の私は、ある「野望」を抱いていました。
「資産1億円を貯めて、沖縄に移住する」
きっかけは、会社員時代に10日間の長期休暇をもらい、フラッと一人旅をした八重山諸島。透き通る海、ゆったりとした時間……どれもが最高すぎて、すっかりハマってしまいました。その後も、友人と、結婚後は妻と、何度も足を運びました。
「物価の高い都会でガッツリ稼いで種銭を作り、物価の安い南国で優雅にリタイアする」
当時はそんな、あまり深く考えていない青写真を描いていました。しかし、人生は計画通りにいかないもので、結婚して現実的な将来を考えるうちに「離島への完全移住」という夢はあえなく頓挫(笑)。
結果として、FIRE後の住処に選んだのは、大阪の片隅でした。
今回は、「都会・田舎・郊外」のどこに住むのが幸せなFIRE生活の正解なのかについて記事にしました。
FIRE後の住む場所、正解は「ライフステージ」で変わる
まず結論から言うと、どこに住むかの正解は「人それぞれ」です。ただ、ライフステージによって答えは変わるとは考えています。
もし今も独身で若ければ、夢見た通り沖縄、あるいは、ひなびた温泉地に移住していたかもしれません。身軽なうちは、多少の不便さがあっても、冒険として楽しめるからです。
しかし、50代・家族持ちのFIREとなると話は別。投資の世界で年齢とともにリスク資産の割合を減らして「守り」に入るのと同じように、住居選びも生活の盤石さを優先する必要があります。
私がたどり着いた結論は、「安さと利便性のバランスが良い郊外」でした。
【都会】便利だが「FIREのゴール」が遠のく場所
私も入社後5年ほどは都内(といっても北区ですが)に住んでいました。現役時代は、年収水準の高い大都会に住むことで入金力を高められた点は良かったと思います。一方で、物価はやはり高かったと思います。私の住んでいたところから少し移動すると埼玉県なのですが、当時その差で駐車場料金が月3万円(北区)と1万円(埼玉)であったことを今も覚えています。
そして本題になりますが、リタイア後の住処としての都会は、少々ハードルが高いと感じます。
理由は単純で、生活コスト(特に住居費)が高すぎて、FIRE後の資産寿命を削るからです。
総務省の消費者物価地域差指数(2024年)を見ると、東京都は「104.0」。大阪は「99.3」です。「全国平均より4%高いだけ?」と思うかもしれませんが、この指数には持ち家の購入費用などが含まれていません。
※参考:総務省:報道資料:消費者物価地域差指数
また、全労連の「最低生計費試算」によると、東京で25歳の若者が一人暮らしをするために必要な最低生計費は月額約28万5千円。家賃の高さはもちろん、周囲に合わせるための交際費や教育費など「見えないコスト」も都会では膨らみます。
※参考:全労連:最低生計費試算調査 総括表
「便利さにこだわりすぎると、いつまで経ってもリタイアできない」というジレンマに陥りがちです。
【田舎】憧れだけでは危険。義両親を見て感じた「老後のリアル」
では、生活費を下げるために田舎へ行けばいいのか? ここにも罠があります。
最近はSNSやブログで、「古民家を再生して自然とともに丁寧に暮らす」といった、とても魅力的な情報が溢れています。そんな発信を見ていると、私も若ければ、間違いなくそのような生活に飛びついていたと思います。
しかし、一歩引いて「一生の住まい」として考えると、老後におけるインフラの欠如は、生活の質どころか命に関わる大きなリスクになると思います。
私の義両親は現在、「車がないと生活できない郊外」に住んでいます。義父は庭いじりが好きで元気なのですが、高齢になり免許を返納した途端、スーパーへの買い物も病院への通院も、移動手段が一気に問題になりました。
結果として、妻が頻繁に実家へ戻り、買い出しや通院のサポートをしている状況です。
田舎の「家賃の安さ」は確かに魅力的ですが、老後まで見据えると意外と安くつかない——それが田舎暮らしの現実ではないでしょうか。
【郊外】私がたどり着いた「大阪の片隅」という現実解
都会は高すぎる、田舎は将来が不安。そこで選んだのが、現在の大阪の片隅(郊外)です。
もともとは「妻の実家の近くがいい」という理由で選んだ場所でしたが、住んでみるとFIRE生活に最適でした。
意外と物価が安い
「大阪=大都会」のイメージがありますが、消費者物価地域差指数は「99.3」と全国平均(100)を下回っています。郊外であれば家賃も手頃で、固定費をぐっと抑えられます。
自転車で生活が完結する
これが最大のメリットです。日常の買い物やちょっとした用事はすべて自転車で事足ります。車を出す必要がありません。そして、友人と会ったり、珍しい物を買いたいときは、電車に乗ればすぐに梅田や難波といった都心へ出られます。
「日常は静かにコストを抑え、特別な日は都会の恩恵を受ける」
このメリハリこそが、資産を守りながら人生を楽しむ「ハッピーなFIRE」の秘訣だと感じています。
これから選ぶなら「人口が増えている郊外」がおすすめ
「正解は人それぞれ」と言いましたが、移住先を探すならば、これだけは検討しておくべき条件があります。
それは、「人口が増えている、もしうは維持している市の郊外」を選ぶことです。
関東圏でと、千葉県流山市、茨城県つくば市。大阪周辺だと吹田市、箕面市、茨木市が人口増加しているようです。
※参考:【全国の市】人口増加数ランキング
日本の人口減少は深刻です。人口が減り続けるエリアではスーパーが撤退し、バス路線が廃止されるなど、行政・民間問わずサービスが維持できなくなるリスクがあります。逆に、地方都市でも人口が増えているエリアであれば、資産価値も維持されやすく、将来のインフラ崩壊リスクを抑えられます。
完全に山奥へ引っ込むのではなく、そこそこの地方都市の、自転車で回れる範囲に陣取る。これが、守りの投資家としての「住居戦略」だと思います。
さいごに
夢見た「沖縄移住」ではありませんでしたが、今の「大阪の片隅」での暮らしには、とても満足しています。
住む場所は、人生最大のポートフォリオの一部です。今の「憧れ」だけでなく、10年後・20年後の自分を想像しながら選んでみてください。
ちなみに、沖縄への憧れはまだ捨てきれていません(笑)。完全移住はしませんが、定期的に旅行だけはしっかり続けるつもりです。



コメント