著者:モンチ(投資歴26年・運用資産2億円/インデックス×社債で完全FIRE)
FIREを目指す中で、誰もが一度は耳にする「4%ルール」。年間支出の25倍を貯めて、毎年4%ずつ取り崩せば資産は尽きにくいという、非常に有名な公式です。
目標金額を一瞬で計算できる非常に便利な公式ではありますが、いざ会社を辞めて退職後の生活設計図を作ろうとすると、「本当にこの一本の数式だけで大丈夫なのだろうか?」と不安にもなります。
もちろん、4%ルールは目標設定の指標としては極めて優秀だと思っていますが、実際に生活の設計図にするには、「個人の事情」を組み込んだカスタマイズが不可欠だと私自身は感じています。
私は53歳で、28年勤めた大企業を退職した、投資歴25年の守りの運用派です。この記事では、4%ルールをそのまま使わなかった3つの理由と、実際に必要な利回りを逆算する方法をお話しします。
なぜ「4%ルール」をそのまま生活の設計図にしなかったのか?3つの落とし穴
4%ルールとは、年間支出の25倍の資産を用意し、毎年その4%ずつ取り崩す考え方です。年間支出が400万円なら、目標は1億円。元になったのは、米国の「トリニティ・スタディ」という研究です。
※Cooley、Hubbard、Walzによる1998年の論文
FIREに必要な目標額の目安や、投資議論の出発点にするには素晴らしいルールです。「手数料を引いて3.5%に調整する」「相場に応じて取り崩し額を調整すれば4%以上でも問題なさそう」といった運用の土台として大いに役立ちます。
しかし、あくまで大枠の標準モデルであるがゆえに、個人のリアルな人生設計図としては、どうしても3つの抜け落ちが発生します。
- 1つ目は、「人生の凹凸が入っていない」ことです。
退職直後の税金や社会保険料(私の場合は1年目120万円、2年目70万円という重い負担がありました)、車の買い替え、将来の介護費用など、実際の支出は毎年同じではありません。
- 2つ目は、「公的年金が入っていない」ことです。
我が家の場合、ねんきんネットで確認すると70歳から夫婦で年約400万円が入る予定です。この年金を無視してひたすら25倍を貯めようとすると、働きすぎや貯めすぎといった過剰なブレーキがかかってしまいます。
- 3つ目は、「使い切る発想がない&インフレの恐怖」 です。
トリニティ・スタディの過去データでは、最終的には資産が大きく増えて終わるケースが多くあります。使えたはずのお金を残して人生を終えるのはもったいないことです。さらに、株価の暴落以上に恐ろしいのが、通帳の数字は減らないまま静かに購買力を削っていくインフレの存在です。
これらのことを考えると、やはり4%ルールは目標額の目安であって、生活の設計図ではないと言えます。
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【シミュレーション結果】物価上昇率「1%の差」で資産寿命はここまで劇変する
そこで私は、無料のライフプランソフト「Financial Teacher System」で、自分専用のライフプラン表を作りました。その際、同じ資産、同じ運用、同じ生活費のまま、物価上昇率だけを変えて状況の確認を行っていました。
- 物価上昇率2.0%:私が102歳(妻100歳)の時点で、資金が約6,043万円残る
- 物価上昇率3.0%:私が96歳(妻94歳)で、資金が尽きる
同じ資産、同じ運用、同じ生活費であっても、インフレ率の設定が1%変わるだけで、資金寿命が劇変するのです。
仮に現在の日常生活費を年400万円とした場合、年2%の物価上昇なら100歳時点の生活費は約1,044万円/年ですが、3%上昇なら約1,636万円/年と、今の約3.9倍にまで膨れ上がります。4%ルールにもインフレ率は盛り込まれていますが、ここまでの恐ろしさを視覚的に実感させてくれるわけではありません。
やはり誰かの作ったルールを鵜呑みにせず、自分の数字で検証することこそが重要なのだと身をもって知りました。
もちろん、ライフプラン表は未来をピタリと当てる魔法のツールではありませんが、この先何十年のリスクを前もって可視化してくれる、頼もしい早期警戒システムになってくれます。
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他人の高利回りに惑わされない!「自分に必要な利回り」を逆算して安眠する方法
SNSを開けば「年利7%」「高配当10%」といった派手な数字が飛び交っています。しかし、そうした他人の高い数字に焦る必要は全くありません。実は、自分のライフプランから「必要最小限の利回り」を逆算することができます。
私は、お金を「現預金」「中期(債券)」「長期(株式中心)」の3つに分ける「バケツ戦略」で持っています。その状況で、ライフプラン表でシミュレーションすると、長期バケツに求める利回りの最低ラインは、物価2.0%なら約2%、物価2.5%なら約3%、物価3.0%なら約4%が目安になりました。ここから、標準的な物価2.0%に1%の安全マージンを乗せた「3%」に設定しています。
この水準なら、レバレッジ型の商品や暗号資産は、私には必要ありませんでした。低コストのインデックスファンドと、債券、現金で足ります。
もちろん、物価上昇が3%を超えて長く続けば、3%では足りません。しかしその場合でも、利回りをどれくらい上げるべきかの目安がわかりますし、支出で調整する場合でもどの程度節約すればいいかがすぐに判断できます。
25年の投資生活で、私は若い頃に個別株やタイミング投資で失敗し、右往左往してきました。そんな私も今は、SNSで「今年は利回りxx%」といった報告を見ても、焦らなくなりました。自分の表から「ここまで届けば足りる」という水準を持っているから、他人の数字は関係ないと思えるのです。
これこそがまさに、安眠できる利回りの答え合わせだと思います。
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暴落局面でも狼狽売りせず静かに資産を守り抜く出口戦略については以下にまとめています
【有料メルマガ第14回】わが家のライフプラン表と物価別早見表を全公開
自分仕様のライフプラン表を作りたい、実際のシミュレーションの組み合わせを見てみたいという方に向けて、僕の生のデータと検証早見表をメルマガで全公開しています。
メルマガ第14回の内容は以下の通りです。
- 4%ルールを、生活の設計図にしなかった理由
- 我が家のライフプラン表を公開(生活費・住居費・介護費・年金などの前提ルール)
- 物価上昇率を変えると、何歳まで持つか【早見表】(長期利回り2〜4% × 物価2.0〜3.0%)
- 逆算してわかった「必要な利回り」と、3%の意味
- 今後10年の株式予測シナリオ(CAPEレシオ)と突き合わせる──点と点がつながる
- あなたの「必要利回り」を出して安眠する3ステップ
ブログではすべての詳細をお見せできませんが、メルマガ本編では実際の入力前提とマトリクス早見表を公開しているので、そのままご自身のシミュレーションの参考にしていただけます。
あなたが本当に目指すべき『安眠できる利回り』の答えをぜひ求めてください。
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記事単品売りとなりますが、noteでも公開しています。
(毎週月曜日に新記事公開)
まとめ
本日の内容をまとめます。
- 4%ルールは目標額の目安として優秀。生活の設計図には、凹凸・年金・インフレを入れた自分の表が必要
- 物価上昇率がたった1ポイント違うだけで、資産寿命は大きく変わる
- 自分に必要な利回りは逆算できる。他人の高利回りに焦る必要はない
まずは、「ねんきん定期便」か「ねんきんネット」で、将来もらえる公的年金の見込額を確認してみてはいかがでしょうか?
PS
皆さんは、自身のライフプランを考えるうえで物価上昇率を何%で置いていますか? ぜひコメント欄で教えてください。






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