2025年も終わりに近づき、今年の投資信託ランキングという記事が出てきました。
【参考】ダイアモンドオンライン:2025年に「買われた投資信託」「売られた投資信託」…投資家の“本音”が見えたランキングを大公開!
新NISAが定着した今、皆が何を買っているのか?
ランキングを眺めてみると、ネットやSNSで話題の「王道インデックス」だけではない、意外な「もう一つの潮流」が見えてきました。
今回は、ランキングTOP10の中身を解剖し、ネット証券のランキングではあまり見かけない「謎の売れ筋ファンド」の正体に迫ります。
2025年に買われた投資信託 TOP10
まずは、資金流入額のランキングを見てみましょう。
| 順位 | ファンド名 | タイプ | 信託報酬 (目安) |
|---|---|---|---|
| 1位 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 全世界株・インデックス | 約0.058% |
| 2位 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 米国株・インデックス | 約0.094% |
| 3位 | 世界のベスト(インベスコ世界厳選株式) | 全世界株・アクティブ | 約1.9% |
| 4位 | フィデリティ・グロース・オポチュニティ D | 全世界株・アクティブ | 約1.64% |
| 5位 | iFree NEXT FANG+インデックス | 米国株・インデックス | 約0.78% |
| 6位 | ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし) | ゴールド | 約0.6% |
| 7位 | AB・米国成長株投信 Dコース | 米国株・アクティブ | 約1.7% |
| 8位 | 楽天・プラス・S&P500 | 米国株・インデックス | 約0.077% |
| 9位 | ファインゴールド | ゴールド | 約0.55% |
| 10位 | 楽天・プラス・オールカントリー | 全世界株・インデックス | 約0.056% |
このランキングは、大きく3つのグループに分けることができます。
① 手数料激安!「王道のインデックスファンド」
(1位、2位、8位、10位)
これは説明不要だと思います。新NISAの「つみたて投資枠」で、現役世代が将来のためにコツコツ積み立てているファンドだと思います。手数料は0.1%以下と激安。「資産形成の最適解」としてSNSでも大人気です。
② 特定のブームに乗る「トレンド投資」
(5位、6位、9位)
5位は米国テクノロジー株(FANG+)への集中投資。6位・9位は「金(ゴールド)」です。
ハイテク株で高リターンを狙う層や、世界情勢の不安から安全資産のゴールドを持つ層に買われています。手数料は中程度です。
③ 手数料は高いがバカ売れ?「毎月分配型アクティブファンド」
(3位、4位、7位)
ここが今回の本題です。
信託報酬が1.5%〜1.9%と、インデックスファンドの数十倍倍もするコストがかかるファンドが、上位に3つも食い込んでいます。
これらはすべて、「プロが運用するアクティブファンド」であり、かつ「毎月分配型(毎月決算型)」という特徴があります。
謎の人気者? 3位・4位・7位のファンドとは
ネットでは「手数料が高いファンドは悪」と言われているこれらの投資信託dですが、なぜこれほど売れているのでしょうか。まずは、それぞれの特徴を見てみます。
3位:世界のベスト(インベスコ世界厳選株式オープン)
- 特徴:その名の通り、世界中の「ベスト」な企業を厳選して投資。ハイテクだけでなく、ブランド力のある消費財や産業機械など、堅実なビジネスモデルを持つ企業を選択とのことです。
- 魅力:25年を超える運用実績を誇るそうです。また、「R&Iファンド大賞2025」において、投資信託20年部門 外国株式バリューカテゴリーで優秀ファンド賞を3年連続で受賞しているようです。
- 成績:ベンチマークに負けてます。(ヘッジなし、年1回決算型の場合)
設定来騰落率:当ファンド:158%、MSCIワールドインテック:183%
4位:フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド D
- 特徴:世界の「成長株」に特化。2025年はオルカンを大きく上回るリターンを叩き出したのことです。
- 魅力:「予想分配金提示型」という仕組みを採用。基準価額が高い月は、機械的に高い分配金が出ます。「儲かった分はすぐに現金で欲しい」という層に刺さっているようです。
- 成績:インデックスに勝ってます。(ベンチマークは設定されていない)
1年の騰落率: 当ファンド:25.38%、MSCI ACWI:23.02%
7位:AB・米国成長株投信 Dコース(アライアンス・バーンスタイン)
- 特徴:米国株の「持続的な成長」にフォーカス。MicrosoftやAmazonなどの最強企業に投資します。分配金を出さないBコースは、「R&Iファンド大賞 2025」において、投資信託10年/北米株式グロース部門の最優秀ファンド賞を受賞しているようです。
- 魅力:こちらも「予想分配金提示型」。強い米国株の成長を取り込みつつ、毎月分配金を受け取れる設計で、数年前から人気があるようです。
- 成績:ベンチマークに勝ってます。(Dコース)
設定来騰落率:当ファンド:545%、S&P500:512%
ネット証券ユーザーには「見えない」ファンド
不思議なことに、これらのファンド(特に4位と7位)は、SBI証券や楽天証券の「販売金額ランキング」ではあまり上位に見かけません。
(かろうじて3位の「世界のベスト」が、8位〜10位くらいに顔を出す程度です)
では、一体どこで誰が買っているのでしょうか?
答えは、「対面型の証券会社(野村、大和など)」や「銀行の窓口」のようです。野村証券などでもファンドランキングが発表されていますが、そこには、上位にこれらのファンドが登場します。
誰が買っているのかを考える
対面型の証券会社での購入が多いということは、主な購入層は、「退職金を受け取ったシニア層」や「富裕層」ではないかと思われます。
おそらく、ネット証券で新NISAをやっている現役世代とは、ニーズが全く異なるのでしょうね。
- 現役世代(ネット証券)
- 目的:20年後のために資産を増やしたい(複利効果)。
- 行動:給料から毎月一定額を積み立てる。
- 商品:分配金が出ない(再投資される)低コストインデックス。
- シニア層(対面窓口)
- 目的:「今の生活」を豊かにしたい。年金の足しが欲しい。
- 行動:退職金などで一括で投資する。
- 商品:毎月「分配金(現金)」が受け取れるファンド。
私も退職金をもらった時に銀行からの勧誘で以下のような提案をされました。

「退職金の1,000万円を眠らせておくのはもったいないです。このファンドなら、今の実績だと毎月これくらいの分配金が入りますよ。」
この「毎月の現金収入」という提案は、シニア層にとって手数料の高さなど気にならないほど魅力的に映るのだと思います。
また、1人あたりの購入額が「数百万〜数千万円」と桁違いに大きいため、全体の流入額ランキングでは上位に躍り出ることになります。
成績が良いからOK? その考えが命取り
「でも、4位と7位のファンドは、インデックスやベンチマークに勝ってるじゃないか」 という反論があるかもしれません。しかし、そこには大きな落とし穴があります。
過去の成績は未来を保証しない
投資の世界では「過去の運用実績は将来の運用成果を約束するものではありません」という注意書きが必ず付きます。これは建前ではなく、本質的な真実です。
アクティブファンドに関する複数の調査では、長期(10年以上)で見ると、約9割のアクティブファンドがインデックスに負けているというデータがあります。
今勝っているファンドが、5年後、10年後も勝ち続けている保証はどこにもありません。
高コストは確実に資産を削る
一方、手数料だけは100%確実に払い続けます。
- 相場が上がっても下がっても、年率1.5%〜1.9%の信託報酬は毎日引かれ続けます
- 暴落時も、基準価額が半分になっても、手数料率は変わりません
- 20年間で計算すると、約30%〜40%近くを手数料として失う計算になります
2025年はたまたま米国グロース株が強く、高い手数料を払ってもお釣りが来る年でした。
しかし、相場が横ばいや下落局面に入った瞬間、「高いコスト」+「毎月分配による複利効果の放棄」のダブルパンチで、資産は思った以上に目減りしていきます。
毎月分配型の本質的な問題
3位、4位、7位のファンドに共通するのは「毎月分配型」であること(毎月分配でないコースもあるようですが・・・・)。
一見魅力的に見える「毎月お金が入ってくる」という仕組みですが、これには大きな問題があります。
分配金は、あなたの資産を取り崩しているだけ
運用益が出ていない時の分配金は、預けた元本を切り崩して返しているだけ(いわゆるタコ足配当)。つまり、「自分のお金を、高い手数料を引かれた上で、少しずつ返してもらっているだけ」という状態になります。
複利効果を自ら捨てている
投資の最大の武器は「複利効果」です。分配金を受け取らずに再投資することで、雪だるま式に資産が増えていきます。毎月分配型は、この複利効果を自らドブに捨てる行為です。目先の現金収入と引き換えに、将来得られたはずの大きなリターンを失っていることになります。
まとめ
このランキングが示しているのは、日本にはまだ「情報弱者を食い物にする金融ビジネス」が色濃く残っているという現実です。
- 1位、2位、8位、10位の低コストインデックスを選んでいるあなたは正解です。そのまま続けてください。
- もしあなたの知合いが「銀行さんに勧められた」と言って、毎月分配型の投資信託を持っていたら、すぐに目論見書を確認してください。信託報酬が1%を超えていたら、それは「資産形成」ではなく「銀行への寄付」と教えてあげてください。




コメント
毎月分配のデメリットを理解できるような人はそもそも買いませんね。
理解していないから買ってるんだと思う。
コメントありがとうございます。
私も全く同感です。
『よく分からないけれど人気だから買う』という方が減るよう、
微力ながら正しい情報を発信していきたいと思います。