20年でFIRE、一番効くのは収入・節約・利回りのどれ?

収入・節約・利回り 最強の要素は? FIRE準備・実行

 著者:モンチ(投資歴25年・運用資産2億円/インデックス×社債で完全FIRE)

私が所属しているFIRE関係のオンラインコミュニティで少し前に、「寺子屋」という名目でFIREについての講義をさせてもらう機会がありました。そのときにお話ししたのが、「資産形成は、実は1本の式に集約される」という話です。

そこで今回は、その式を分解しながら、「20年後にFIREする」というゴールを置いたとき、収入・支出・利回りのどの努力が一番効くのかを、数字で明らかにしていきます。

先に結論からお伝えすると、20年というスパンで見た場合、収入・支出・利回りの中でもっとも再現性が高く、効果が大きいのは「支出の見直し」です。支出削減は税金や社会保険料の影響を受けない分、額面の収入を増やす以上にFIRE達成を早める力を持っています。とはいえ収入アップや利回り改善にもそれぞれ意味があるので、以下で実際の数字を使いながら一つずつ検証していきます。

スポンサーリンク

「資産形成の方程式」を3つの要素に分解する

資産形成の式として有名ですが、寺子屋でお話しした式はこちらです。

資産 =(収入-支出)× 運用利回り 時間

シンプルですが、これがすべてです。

  • 収入-支出=毎年どれだけ「種銭」を積み増せるか
  • 運用利回り=その種銭をどれだけ効率よく増やせるか
  • 時間=それを何年続けられるか

ここで注目してほしいのは、収入と支出は「足し算・引き算」の関係なのに対し、運用利回りと時間は「掛け算・べき乗」の関係になっている点です。

同じ労力をかけるにしても、「足し算・引き算」の世界で戦うのか、「掛け算・べき乗」の力を借りるのかでは、資産全体に与えるインパクトの質がまったく違います。

とはいえ、多くの会社員にとって「時間」はそう簡単に増やせるものではありません。

むしろ現実的に悩むのは、「本業で出世して収入を上げるべきか」「今の生活を切り詰めるべきか」「投資の勉強をして利回りを上げるべきか」という3択ではないでしょうか。では20年後にFIREしたいと考えた時、どの項目がどのくらいの効果があるのでしょうか?

30・40代から資産形成を行うシミュレーションの前提

わかりやすいように、次のような現実的な数字を基準に考えていきます。

  • 年間収入:500万円
  • 年間支出:400万円(年間の貯蓄力:100万円)
  • 運用利回り:年5%
  • 運用期間:20年

この条件で複利運用を続けると、20年後の資産はおよそ3,300万円になります。ここから、「収入」「支出」「利回り」をそれぞれ変化させると何が起きるのかを見ていきましょう。

検証①:「収入10%アップ」の破壊力と、その等価価値

年収500万円が10%アップ(+50万円)すると、貯蓄力は100万円から150万円に跳ね上がります。この状態で20年運用すると、資産は約4,960万円になります。

年収アップ前の500万円の場合との差はかなり大きく、これを利回りの努力だけでカバーしようとすると、5%ではなく8.7%前後まで引き上げる必要があります。そして利回りでなく投資期間を延長する場合には、約5.6年分の年月が必要になります。

収入10%アップは、以下と同じ価値があります。

  • 利回り:3.7%のアップ
  • 投資期間:5.6年分

インデックス投資で20年間、平均利回り8%台後半を出し続けるのはプロでも至難の業です。だからこそ、収入アップ(入金力の強化)は非常に強力なブースターだと言えます。

検証②:「支出10%ダウン(節約)」は収入アップ以上の価値がある

一方、年間支出400万円を10%(-40万円)減らすと、貯蓄力は140万円になります。20年後の資産は約4,630万円。利回り換算では8.1%前後、時間換算では約4.6年分の投資期間に相当します。

支出10%ダウンは、以下と同じ価値があります。

  • 利回り:3.1%のアップ
  • 投資期間:4.6年分

数字だけ見ると収入アップよりやや見劣りしますが、ここからが本題です。

支出削減による節約は、税金や社会保険料の対象にならない、いわば100%非課税のお金です。

額面年収500万円前後は、課税される所得金額が195万円を超えるラインにあり、日本の税制において所得税率が5%から10%へと上がる壁でもあります(国税庁「No.2260 所得税の税率」より)。つまり、収入を増やすアプローチでは税金や社会保険料の負担も重くなる可能性がありますが、支出削減によって生まれた資金には税金の影響を受けることはありません。額面を増やす努力より、減らす努力のほうが手取りベースでは効率が良いというのが私の考えるところです。

節約がFIRE達成の最短ルートとなる魔法のレバレッジ効果

そして、節約の効果はこれだけではありません。以前の記事【FIREへの近道】資産25倍よりも直感的!「300の法則」で気づく節約の恐るべき破壊力で紹介したのですが、月1万円の節約は、FIREに必要な目標額そのものを300万円引き下げる効果を持ちます。つまり300倍のレバレッジがかかった状態でFIREへのゴールが近づいてきます。

▼関連記事

つまり節約は、「投資の元本を増やす」ことに加えて、「ゴールのハードルそのものを下げる」というダブルのレバレッジがかかっているのです。資産を増やす努力に加えて、ゴールを近づける努力まで一度にできてしまう。これが、節約が地味に見えて実は最強の理由だと私は考えています。

スポンサーリンク

検証③:投資の勉強で「利回り1%アップ」はFIREを何年早めるか?

では、投資の勉強を頑張って利回りを5%から6%へ、1%だけ引き上げられたらどうでしょうか。

20年後の資産は約3,680万円、時間換算では約1.4年分の投資期間に相当します。

もちろん無駄ではありませんが、20年という期間で見ると、収入や支出の努力ほどの効果はないというのが正直なところです。投資の勉強に時間を全振りするより、まずは入金力(収入・支出のコントロール)を固めるほうが、確実性と効率の両面で分があります。

結論:20年後のFIRE達成に一番影響を与える要素はどれだ?

ここまでの数字を、「1単位動かすと、時間をどれだけ前倒しできるか(時間的価値)」という共通のものさしでスコア化すると、こうなります。

  • 収入アップのスコア(収入10%増):5.6ポイント(=時間を5.6年の価値がある)
  • 支出ダウンのスコア(支出10%減):4.6ポイント(=時間を4.6年の価値がある)
  • 利回りのスコア(利回り1%増):1.4ポイント(=時間を1.4年の価値がある)
  • 時間のスコア(1年長く運用する):1.0ポイント(=基準となる1年分の価値)

こうして並べてみると、入金力(収入アップと支出ダウン)のインパクトが、利回りを大きく引き離していることがわかります。

さいごに:等身大の支出管理で、着実にFIREのゴールテープを切ろう

今回の記事を、あらためて整理するとこうなります。

  • 20年後のFIREを目指すなら、収入アップ・支出削減・利回りアップの中で、税引き後の効率と再現性の両面で「支出削減」がもっとも手堅い
  • 収入アップは効果こそ大きいものの、税金の壁にぶつかりやすい
  • 利回りアップの努力も無駄ではないが、20年という期間では入金力ほどのインパクトは出にくい
  • 節約は資産を増やすだけでなく、ゴールそのものを引き下げるダブルの効果を持つ

身の丈に合った支出管理で入金力を最大化しつつ、世界経済の成長(利回り5%前後)に素直に乗ること。これが、私のような凡人が20年でFIREを目指すための、いちばん現実的な戦略ではないかと思います。

コメント

  1. いううt より:

    20年後の収入や利回りはどうなってるか誰にもわからんけど、節約は誰にでもできるからな

タイトルとURLをコピーしました