著者:モンチ(投資歴25年・運用資産2億円/インデックス×社債で完全FIRE)
皆さんの中に、「今の仕事が辛くて、逃げるようにFIREという言葉が頭をよぎる」という方はいませんか?
実は昨日、オンラインコミュニティで取ったアンケートの結果について話す機会があり、少し驚くべき内容が明らかになりました。今回はそのアンケートをもとに、FIREとメンタルヘルスの関係、そして「FI(経済的自立)」と「RE(早期リタイア)」の本当の意味について、私自身の実体験も交えながら考えてみたいと思います。
今の働き方に息苦しさを感じている同世代の方にとって、何かのヒントになれば嬉しいです。
衝撃?FIREコミュニティの半数が「メンタル不調」経験者
世間の平均を大きく超える「約50%」
コミュニティ内の未FIRE層の一部を対象に実施したアンケート(31名)で、興味深い結果が出ました。「過去にメンタルの不調を経験したことがあるか?」という質問に対し、なんと約半数の方が「経験あり」と回答されていたのです。
一方、厚生労働省が引用する世界精神保健調査によると、日本人の精神障害生涯罹患率は22.9%、つまり5人に1人が生涯のどこかでメンタル不調を経験するとされています。
参考:厚生労働省:地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会の参考資料
それと比較すると、このコミュニティにおける50%という数字は、明らかに一般的な平均を大きく上回っています。(とはいえ、回答数は31名と小規模であるため、あくまで参考として見てください。)
なぜ、FIREを目指す人にはこれほど多くの方がメンタル不調を経験しているのでしょうか。
なぜ心を病むのか?FIREを目指す人に多い「真面目すぎる性格的傾向」
FIRE達成者の中には、「起業して会社を売却した」「不動産投資で大きな成果を上げた」といった、行動力あふれる外向型の方もいるでしょう。しかし実際のFIRE層の多くは、私自身も含め、日々の家計管理や節約、そしてインデックス投資をコツコツと積み上げていく「内向型・内省型」の方が多いのではないかと感じています。
そういった方は総じて真面目で、責任感がとても強い傾向があります。
だからこそ、職場の理不尽な状況や過重労働に直面したとき、「自分が頑張らなければ」「自分の能力が足りないせいだ」と、問題を自分一人で抱え込んでしまいがちです。他者に助けを求めることが苦手なため、気づかぬうちにキャパシティを超え、心を病んでしまうリスクが高いのだと考えられます。
※もし今、この記事を読んでいて「朝起き上がれない」「動悸が止まらない」といった深刻なサインが出ている方は、FIREの計画よりも先に、まずは勇気を出して心療内科等の専門機関を頼ってくださいね。ご自身の命と心が最優先です。
FIREとは「不幸な労働環境からの避難所」なのかもしれない
仕事が充実していれば「RE(退職)」はしない
シンプルに考えると、今の仕事が最高に楽しくやりがいがあり、人間関係も良好であれば、人はわざわざ「RE(早期リタイア)」を選ばないのではないでしょうか。
人間には「誰かの役に立ちたい」「社会と関わりたい」という根源的な欲求があります。アドラー心理学でいう「他者貢献」です。それでもあえてREを選ぶのは、その欲求を上回るほど、今の職場環境のマイナスが大きすぎると感じているからかもしれません。
つまり、FIREにおける「RE」とは、南の島でのんびり暮らすといった悠々自適の夢などではなく、心を壊す環境からの「緊急脱出装置」として機能している側面が強いのではないか。
今回の件で、私はそう考えるようになりました。
私自身が「会社との距離感」を見直したきっかけ
偉そうに考察していますが、実は私自身も過去に、働き方を見直さざるを得ない時期がありました。
コロナ禍で働き方が急変し、リモートワークがメインになった頃のことです。職場の仲間とのリアルなつながりが失われ、まるで「個人商店」のような孤立した働き方になっていきました。仕事を抱え込みすぎた結果、少し長めの休養をとることになりました。
これが直接「よし、FIREしよう」という決断につながったわけではありません。ただ、休んでいる間にふと気づいたことがありました。「私がいなくても、会社は何事もなかったかのように回っている」――残酷ですが、当たり前の事実です。
この経験を経て、「会社は会社、自分は自分。私がいなくても会社は回る」という感覚が自然と身につきました。会社との心理的な距離感が大きく変わり、もしかすると「退職に対するハードルが下がった」のかもしれません。
心の傷が癒えると、人はまた「働き始める」という矛盾
雇われ人ではなく「個人事業主」を選ぶFIRE民
「FIRE=一生何もしない」というイメージがあるかもしれませんが、現実は少し違います。オンラインコミュニティを見ていると、FIREを達成した後に再び働き始める方が少なくありません。
ただし、再び「雇われ人(会社員)」に戻るのではなく、個人事業主として独立する方が多い印象です。資格や特技を活かしながら、お金のために嫌な仕事をするのではなく、「働きたいときに、好きなペースで働く」というスタイルを選ぶ方もいます。また、noteでの執筆やKindleでの電子書籍出版など、自分の経験や知識を発信して収入を得ている方もよく見かけます。
結局のところ、人は完全な孤独では生きられず、何らかの形で「人とのつながり」を必要としている――それが、FIREした方々の姿から見えてくる真実なのだと思います。
私の場合は「ブログ」。
私の場合は、このブログ運営が社会とのつながりになっています。
仕事として取り組んでいるわけではありませんが、定期的に更新するための時間的な拘束はあるので、感覚としては仕事に近いかもしれません。もし収入に結びつけたいのであれば、クラウドワークスなどでWebライターとして活動するという選択肢もあるかもしれません。
ただ現状は、生活を支える資産があるからこそ、自分の好きなペースで、読者の皆さんと非同期でやりとりできるブログをこのまま続けていきたいと思っています。これこそが、FI(経済的自立)の最大のメリットだと感じています。
まとめ
今回の記事のポイントをまとめます。
- FIREを目指すコミュニティメンバーの約半数がメンタル不調の経験者。
- 原因は、FIREを目指す人に多い「真面目で責任感が強く、抱え込みやすい性格」にあると推測。
- 「RE(退職)」は、心を壊すような環境からの立派な「避難所(生存戦略)」である。
- FIRE後、心が回復すると「人とのつながり」を求めて、個人事業主などの形で再び動き始める人が多い。
仕事が辛くてFIREに逃げたいと思うなら、それは甘えでも何でもありません。まずは「経済的自立」の土台を少しずつ作ることが、自分を守る第一歩になるかもしれません。
本記事は筆者の個人的な体験・見解をもとにしたものであり、医療的アドバイスや投資助言を目的とするものではありません。メンタルヘルスに関するお悩みは専門機関にご相談ください。


コメント