著者:モンチ(投資歴25年・運用資産2億円/インデックス×社債で完全FIRE)
目標とする資産額に近づき、いざ早期リタイアが現実味を帯びてくると、「本当に今、会社を辞めていいのだろうか?」と急に足踏みしてしまう方は多いのではないでしょうか。
実は先日、私が所属しているコミュニティ「FIRE研究所」のYouTube企画で、まさにこの『FIREするなら何歳がベストか?』というテーマについて話し合う機会がありました。
事の発端は、コミュニティ内でFIREを目指す方31名に向けて「何歳で会社を辞めたいか?」というアンケートをとったことです。その結果を踏まえ、「じゃあ実際にFIREを達成した30代、40代、50代のメンバーで意見交換をしてみよう!」ということになり、対談収録を行ってきました。
結論から言うと、最適な年齢の捉え方は「世代」によって全く違いました。他の世代のリアルな本音を聞いて、思わず感心したり、自分との違いに驚いたり……。
今回は、アンケート結果と各世代のリアルな価値観をご紹介しつつ、等身大の50代おじさんとして、私の「辞め時の後悔」を赤裸々に語ってみたいと思います。
【アンケート結果】FIREを目指す最適な年齢は?多くが「40代・50代」でのリタイアを希望
まずは、FIRE前の方31名に取ったアンケート結果を見てみましょう。

選択肢は30歳から65歳まで用意されていたのですが、結果は以下の通りでした。
- 1位:40歳まで(32.3%)
- 2位:50歳まで(29%)
- 3位:60歳まで(25.8%)
「20代や30代前半など、できるだけ早く辞めたい!」という人が圧倒的多数かと思いきや、意外にも各年代で票が割れており、「現実的な目標として40代〜50代でのリタイアを見据えている人が多い」ということが分かりました。
やはり、ある程度の資産を築き、ライフステージの変化が落ち着いてくる40〜50代が、FIREの一つの大きな目安になっているようです。
【3世代対談】達成者が語る「FIREの最適年齢」と価値観の違い
では、実際にリタイアしたメンバーはどう考えているのでしょうか?
対談を通じて見えてきたのは、年代によって「辞め時の判断基準」が大きく異なるという現実でした。残されている気力・体力や、キャリアに対する考え方が、世代ごとに見事に分かれていたのです。
30代サイドFIRE達成者の本音:「若すぎるリタイアは失敗のもと。人的資本を高める時期」
30代前半でサイドFIREを達成した方の意見は、非常に冷静で地に足の着いたものでした。
彼曰く、「もっと早く(20代などで)辞めたいとは思わない。FIREは片道切符になりがちなので、早まってお金が尽きるのが一番辛い」とのこと。
「30歳ならまだ人的資本(自分自身の労働で稼ぐ力)も高められるし、今の仕事が嫌なら、辞めることにこだわらずキャリアチェンジで解決することもある」という、若い世代ならではの現実的な視点には、私も深く頷かされました。
40代サイドFIRE達成者の意見:「独立や挑戦をするなら、気力・体力が残る40代が勝負」
一方、40代でサイドFIREをした方の意見はバイタリティに溢れていました。
「40代ならまだ体力と気力が残っている。自分で稼ぐチャレンジや独立起業をするなら今だと思った」と語ってくれました。また、この方は看護師という医療系の資格職を持っていたため、「万が一の時は、またどこかで仕事ができる」という安心感が決断を大きく後押ししたそうです。
資格という強力なセーフティネットと、次へ向かうポジティブなエネルギー。まさに40代という脂の乗った時期ならではの強みですね。
53歳完全FIRE(私)の後悔:「お金の計算は完璧だったが、”時間”を見誤った」
さて、30代・40代の「次へ向かうバイタリティ」に素直に感心した50代の私ですが、自分の辞め時を振り返ると、なんとも情けない現実が浮かび上がってきます。
私の場合、40代の時点で目標だった1億円の資産はすでに達成していました。しかし「じゃあ辞めよう」とはどうしても踏み切れず、「退職金が50歳になると満額出るから」「家賃補助が53歳まで支給されるから」と、外部の条件を言い訳にしてズルズルと5年も退職を引き延ばしてしまいました。
「何かあったら困る」という漠然とした不安のせいで、本来もっと早く手に入れられたはずの自由な時間を、自ら手放してしまった。これが私の最大の後悔です。
53歳で完全リタイアした私が痛感した「2つの誤算」
50代でのFIREは、資産も十分に育っており経済的には安定しています。しかし実際に辞めてみて、緻密なシミュレーションには現れなかった「時間にまつわるリアルな誤算」に気づきました。
誤算① 「自由な時間」は、共有できる相手がいないと孤独感に襲われる
退職前、私はライフプランソフトでインフレ率を加味した100歳までのシミュレーションを何度も行い、資産の取り崩し方も入念に設計しました。お金の計算は、我ながら完璧だったと思います。
しかし抜け落ちていたのは、「その時間を誰と過ごすか」という視点でした。
いざ会社を辞めると、平日の昼間に気軽に連絡できる友人がいない。仕事を通じた人間関係がリセットされたことで、時間が増えるほど孤独感も増すという、想定外の現実にぶつかりました。「自由な時間」は、使い方と居場所がセットでなければ、むしろ重荷になり得る——これは辞めてみて初めてわかったことです。
誤算② 染み付いた節約癖のせい!?「楽しむ予算」が使えない
もう一つは、長年の「無駄使いせずに投資に回す」生活が染み付かせた節約癖との戦いです。
FIRE後の生活費とは別に、毎年50万円を「自分へのお遊び資金」として予算取りしています。ところが、いざ使おうとすると「もったいない気がする……」と躊躇してしまい、結局使い切れずに年を越してしまいます。
一見贅沢な悩みですが、実は深刻な問題だと感じています。お金を守ることに最適化されてきた思考回路は、FIREしたからといって簡単には書き換わりません。
「何のためにFIREしたのか」という問いに、まだ自分なりの答えを出せていない。
それが正直なところです。
決断を迷う「あと1年教」のあなたへ伝えたいこと
もし今、あなたが目標とする資産額に到達していて、それでも「あと1年だけ……」と決断を先延ばしにしているのなら、迷っている時間は本当にもったいないと強くお伝えしたいです。
私のようにズルズルと5年も引き延ばしてしまうと、莫大な『自由時間』を失うことになります。
FIREを1年引き延ばすことで、一体どれほどの自由時間を失うのか? その残酷な計算については、以下の過去記事で詳しく解説しています。「あと1年教」から抜け出せない方は、ぜひ一度読んでみてください。背筋が凍るかもしれませんよ。
さいごに
今回の記事の要点をまとめます。
- アンケート結果では、現実的な目標として40〜50代でのFIRE希望が多い。
- 30代・40代は「人的資本」や「体力・気力」を重視して、次のステップへ進むためのFIREを選択している。
- 50代の私は、お金の準備は完璧だったが、「5年間の決断の遅れ」と「自由な時間をどう生きるかのビジョン不足」を猛烈に後悔している。
FIREはあくまで人生の選択肢の一つであり、無理にする必要はありません。しかし、もし明確な目標が見えていて、条件が揃っているにもかかわらず足踏みしているのなら、自分の「人生の残り時間」を第一に考えてみてください。過ぎ去った時間は、どんなにお金を出しても取り戻せません。
▼ 実際の対談の様子はこちらの動画からご覧いただけます!



コメント
いつも楽しく拝見させていただいております。
私も53歳でFIREしました。
自分としてはもっと早く、と思っていましたが、金融資産の積み上げ状況との兼ね合いでこの年齢でのFIREとなりました。
不安を抱えてFIREするよりも、精神衛生上はしっかりと準備してからの方がよいと思います。
最近、ブログを再開しましたのでもしよかったらご覧ください。