早期リタイア(FIRE)を実現した際、地味に重くのしかかるのが「社会保険料」です。
特に国民年金保険料は年々上昇しており、令和7年度(2025年度)は月額17,510円となりました。年間で約21万円もの固定費になります。
資産所得で生活しているとはいえ、キャッシュアウトは少しでも減らしたいもの。
実は、FIREした無職の状態であれば、国民年金の支払いを合法的にゼロにしつつ、将来の受給権を守るバグのような裏ワザが存在します。
今回は、私が実際に検討したシミュレーション(53歳早期リタイア版)を交えて解説します。
FIRE民は「収入なし」として国民年金の免除が受けられる
会社員を辞めてFIRE生活に入ると、厚生年金から国民年金に切り替わります。
この際、失業状態にあり給与収入がなくなるため、申請をすれば「保険料免除制度」を利用できる可能性が高いです。
「資産はあるけど、給与所得はない」というのがFIREの強み。この制度を使わない手はありません。
通常の「全額免除」には所得制限がある
まず基本知識として、国民年金の免除には所得の審査があります。前年の所得が一定以下であれば「全額免除」が認められます。
全額免除の所得基準
- (扶養親族等の数 + 1) × 35万円 + 32万円
例えば、単身(扶養なし)の場合:
- (0 + 1) × 35万円 + 32万円 = 67万円以下
FIRE直後の年は、前年に会社員としての給与があるため、通常であればこの基準をクリアできず、免除を受けることはできません。
しかし、ここで「最強の特例」が登場します。
FIRE民の味方!「退職(失業)による特例免除」がすごい
通常の審査とは別に、退職した人だけが使える「特例免除」という制度があります。
これがFIRE達成者にとって非常に有利な仕組みになっています。
特例免除のすごいポイント
① 前年の年収は一切問われない
この特例を使うと、審査の際に本人の所得をゼロとして扱ってくれます。
つまり、退職前の年収が1,000万円あろうが、2,000万円あろうが関係ありません。「今は無職」という事実だけで、本人の所得は審査対象から除外されます。
② 自己都合退職(FIRE)でもOK
失業保険などでは「会社都合」か「自己都合」かで待機期間が変わったりしますが、年金の特例免除においては退職理由は問われません。
- リストラや倒産(会社都合)である必要はない
- 自分の意思で辞めた場合(FIRE)も対象
- 「一身上の都合」での退職も問題なし
③ 審査対象から完全除外
ハローワークで発行される「雇用保険被保険者離職票」や「雇用保険受給資格者証」の写しなどを提出すれば、その給与所得はなかったものとして扱われます。
※世帯主や配偶者がいる場合は、その方々の所得審査は通常通り行われます。
全額免除の場合でも、1/2は納めたことになる
「免除=未納」ではありません。ここが最大のメリットです。
全額免除が承認された期間は、年金受給資格期間に算入されるだけでなく、将来受け取る年金額についても、国庫負担により「保険料の半分(1/2)」を納めたものとして計算されます。
1円も払っていないのに、半分払った扱いで年金がもらえる。
通常は年金を納めることができない方へのための仕組みだとは思いますが、FIRE民にとっては、とてつもないメリットです。
【検証】私の場合でシミュレーション
では、実際にどのくらいお得なのか?
53歳の私が60歳までの残り7年間を「払うか」「免除するか」でシミュレーションしてみました。
前提条件
- 20歳〜53歳までは厚生年金等を含め全額納付済みと仮定
- 満額老齢基礎年金:83万1700円/年 (令和7年度)
- 国民年金保険料:17,510円/月 (令和7年度)
※以下のシミュレーションは概算です。正確な金額は年金事務所等でご確認ください。
ケースA:60歳まで残り7年間、全額納付し続ける
毎月17,510円を払い続けた場合です。
これから払う保険料:
- 17,510円 × 12ヶ月 × 7年 = 147万840円
将来受け取る年金額:
- 満額の 83万1700円/年
ケースB:53歳〜60歳の7年間、全額免除を受ける
特例免除を使い、保険料を一切払わない場合です。
これから払う保険料:
- 0円
将来受け取る年金額:
- 75万8926円/年 (概算)
7年間が「半額納付」扱いとなるため、満額から少し減ります。
減額分:満額831,700円 × (7年/40年) × 0.5 = 約72,774円減
受取額:831,700円 – 72,774円 = 75万8,926円/年
何歳まで生きれば元が取れる?
2つのケースを比較すると、以下のようになります。
- ケースA(納付):約147万円払って、年金を年間約7.2万円多くもらう
- ケースB(免除):1円も払わずに、年金が年間約7.2万円減る
つまり、「先に払った約147万円の元を取るには、何年年金をもらい続ける必要があるか?」という計算になります。
1,470,840円(コスト) ÷ 72,774円(差額リターン) ≒ 20.2年
年金受給開始を65歳とすると、85歳まで生きて初めて「払った方がお得だった」ことになります。
さらに言えば、手元に残した約147万円を運用しながら取り崩せば、損益分岐点はさらに後ろに伸びていきます。
まとめ
- FIRE後は「退職特例免除」で前年所得に関係なく全額免除が可能
- 自己都合退職でもOK、退職前の収入がいくらでも問題なし
- 免除期間も1/2納付扱いで年金受給資格に算入される
- 私の場合は、85歳以前に亡くなる場合は免除の方が経済的に有利
- 手元資金を運用すればさらに損益分岐点は後ろにいくかも
最後に、私はどうしたか
私の場合、85歳より前に亡くなる場合は、「全額免除(ケースB)」の方がトータルでお得ですが、私の考えとして年金は「想定した以上に長生きした時の保険」と思っています。
ですので、私の場合は、免除はせずに全額納付を選択しました。
早期リタイア(FIRE)時に考えることを以下の記事にまとめました。ぜひ参考にしてください




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